クーデターで権力を握った国軍による市民への弾圧が続くミャンマーで、日本の官民が進めてきた都市開発事業について、中止を求める声が国内外の人権団体などから上がっている。土地の賃貸料が国防省に支払われた後、国軍の資金になる可能性が指摘されているからだ。

 問題になっているのは、最大都市ヤンゴンの一等地で計画された都市開発事業「Yコンプレックス」。総事業費は3億3250万ドル(約360億円)で、約1万6千平方メートルの敷地にオフィスや商業施設、ホテルなどの複合施設を建設する。

 事業には準大手ゼネコンのフジタや、国交省が所管する官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)などが参加し、日本政府が全株を保有する国際協力銀行(JBIC)が約51億円を融資している。

 民主化後のミャンマーの経済発展を支援すると同時に、日本企業の進出に合わせて増加が見込まれた事務所や宿泊施設の需要の受け皿となり、収益を上げる狙いがあった。日本の関係企業はミャンマー企業「YTTC」と合弁で現地に会社を設立し、事業を進めてきた。日本側とミャンマー側の事業費の負担割合は明らかにされていない。

 事業用地は国軍の軍事博物館の跡地。工事は2018年に始まり、今年1月末までに7割程度まで進んでいたが、2月1日のクーデター以降は中断している。

 フジタなど日本側の関係者への取材によると、事業用地の所有者は国防省。合弁相手のYTTCが土地を借り、日本の関係企業とYTTCでつくる合弁会社がその土地を転借している。ロイター通信は、賃貸料は年間約2億円と伝えている。

 加藤勝信官房長官は3月24日の記者会見で「Yコンプレックス」の事業について、土地の賃貸料が国防省に支払われていることを認めたうえで、「JOINまたはJBICは国軍と直接の取引関係はない」と述べた。

国防省への支払い後が使途不明

 賃貸料が国防省に支払われた後…

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