日の丸と夫婦別姓 それは「時代遅れ」の自民党なのか

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編集委員・秋山訓子
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アナザーノート 秋山訓子編集委員

 その政治家の事務所の応接室に足を踏み入れると、真っ正面に大きな日の丸が目に飛び込んでくる。

 「おう、久しぶり」。衆院議員、というよりも「代議士」と言う古めかしい呼び方のほうが似合っているように思えるその人は、日の丸を背にして座った。

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 浜田靖一氏。防衛や水産が専門で、防衛相などを歴任。当選9回、保守派の重鎮だ。

 父が浜田幸一氏という強烈なキャラクターの超有名人。靖一氏の顔を見れば父が誰だかすぐわかる。いわゆる「二世」だが、この人の場合、二世独特のおうようさやおおらかさに加え、たたき上げの政治家によく見られる義理と人情を重んじ、こまやかに人の面倒を見る親分肌のところがある。苦労人として知られた故渡辺美智雄衆院議員の秘書だったからだろうか。

 浜田氏は、大げさにいえば永田町絶滅危惧種といっていいかもしれない。

 彼がどんな人かといえば、たとえば、2003年から防衛副長官(当時)を務めた。この時、イラクの自衛隊派遣で世間は大揺れ、自衛隊員の中にも動揺が走っていた。

 浜田氏は現場の自衛隊員を夜、副大臣室によく招いてはビールとピザを前に、彼らの胸の内を聞いた。

 「だって、最前線に立ってくれている彼らの話を俺が聞かなきゃ、何のための政治家か、って思うんだよ。現場が気持ち良く動いてくれるのが一番でしょ」

 あるいは、自民党が野党だった民主党政権時代に、国会対策委員長代理や委員長を務めた。慣れない与党の国対委員長に時にアドバイスをしながら国会を切り回した。

 当時、5人しかいなかった自民党の1年生議員の1人が小泉進次郎氏だった。父の純一郎氏から「国会まわりのことを教えてやってくれ」と頼まれ、やってきた進次郎氏の世話を浜田氏はあれこれと焼いた。

 その後も付き合いは続き、その縁で2018年に進次郎氏が国会改革を唱えて議連を作ったとき、浜田氏が議連の会長となった。 「若い人が何かをしたいって相談されたら、応援しなくちゃな」

 (今はコロナ禍なので事情が違うのだが)政治家といえば夜の会合がつきものだ。二つ三つと予定を入れて掛け持ちし、遅参して早くいなくなる政治家は珍しくない。

ここから続き

 だがこの人は違う。夜の会合…

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この記事を書いた人
秋山訓子
編集委員
専門・関心分野
国内政治、民主主義、市民社会、ジェンダー