「空間除菌」スポ庁購入 コロナ対策、厚労省は推奨せず

朽木誠一郎
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 スポーツ庁が、オリンピックの新型コロナウイルス感染症対策として、人への有効性や安全性が未確立な技術である「空間除菌」をうたう空気清浄機を購入していたことがわかった。厚生労働省によると、現在、医薬品医療機器法(薬機法)にもとづいて新型コロナ対策を標榜(ひょうぼう)できる空間除菌の家電や雑貨はなく、専門家からは問題視する声が出ている。

 同庁によると、当初は空間除菌のAIロボットなどの購入を検討していたが、厚労省が推奨していないことなどを受けて取りやめた。しかし、空間除菌をうたう空気清浄機の導入は進めた。AIロボットの検討については「空間除菌に対する認識が甘かった」としたうえで、空気清浄機については「できるだけ換気をすることは必要だと考えた」と説明している。

 同庁は昨年度の第3次補正予算で「国立競技場等における新型コロナウイルス感染症対策」として20億円を計上し、方法に「空間除菌等」を含めていた。オリンピック期間中に執行され、国立競技場の会議室などに複数台の空気清浄機が設置される予定で、総額は数十万円規模の見通し。

 空気中の新型コロナウイルス対策として、厚労省は「こまめな換気」のみを推奨している。感染症対策コンサルタントで看護師の堀成美さんは「空間除菌」について「不安ビジネスでもあり、人々や社会に負担を増やしているのはよくない。スポーツ庁が購入すると国によるお墨付きを与えることになり問題だ。業者の宣伝に惑わされず、必要な対策を実施してほしい」と指摘する。朽木誠一郎

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