共通テスト、簿記・会計を廃止へ 透ける政治的理由
共通1次試験時代の1985年に始まり、大学入試センター試験、大学入学共通テストでも続いてきた「簿記・会計」の出題が、2024年実施の共通テストを最後になくなる見通しとなった。受験者数が少ないことが理由の一つだという。ただ、より受験者が少ないのに存続する科目もある。その理由とは――。
共通テストの問題作成や採点などを担う大学入試センターは今年3月、25年以降の共通テストについて、現行の6教科30科目から7教科21科目に再編する方針を発表。数学の科目の一つである簿記・会計の出題廃止を打ち出した。
センターの担当者は、理由をこう説明した。「18歳人口の減少で受験者も減り、経費を減らすため科目のスリム化が必要。大学側から(簿記・会計を)継続してほしいという強い要望もなかった」
センターの収入は、共通テストの志願者が支払う検定料(3教科以上は1万8千円、2教科以下は1万2千円)が約9割を占める。少子化による志願者数減でセンターは経営改善が急務となっており、コスト削減のために打ち出したのが科目のスリム化だった。
今年1月に実施された初の共通テストの受験者数は、全体で約48万4千人。簿記・会計は受験者が約1300人と少なく、廃止対象に選ばれた。科目再編によって衣替えされたり統合されたりする科目もあるなか、純粋な廃止は簿記・会計だけだった。
全国の約1370校が加盟する全国商業高校長協会の林修・前理事長は「簿記・会計が共通テストにあることが商業高校のアピールポイントの一つだった。共通テストがますます普通科の生徒向けの試験になっていく」と残念がる。廃止が正式に決まった場合、各大学に、民間の簿記検定試験の成績を利用した選抜を行うよう求めていくという。
一方、簿記・会計より受験者数が少ないのに、25年以降も残る科目がある。
外国語のフランス語(第1回共通テストの受験者数91人)、韓国語(同112人)、ドイツ語(同113人)、中国語(同639人)だ。
センターは「コスト的には厳しいが、英語に代えて学んでいる生徒もいるため」と存続理由を説明する。
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