広島再選挙「勝たないと道ない」 公明が血眼になる理由

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大久保貴裕 東郷隆 太田成美
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 菅政権にとって初の国政選挙となる4月の参院広島再選挙。政権の浮沈がかかるこの一戦に、独自候補を立てていない公明党が異例ともいえる「挙党態勢」で臨んでいる。背景にあるのが、地元の自民、公明両党に横たわった感情のもつれだ。

創価学会トップが動いた

 公明の支持母体・創価学会の機関紙「聖教新聞」の3月29日付1面トップの見出しに「広島」の2文字が大きく躍った。学会の原田稔会長が27、28両日に広島での地元幹部会合を行脚した様子を伝える記事だ。

 関係者によると、28日の会合には、広島県内の学会幹部ら数百人が集まった。原田氏から再選挙に関する直接的な言及はなかったが、地元の学会員には「このタイミングでの広島入りはかなり異例。『再選挙の勝利に向けて全力で頑張れ』というメッセージだ」との受け止めが広がった。この会合では学会の地元幹部が再選挙について、「重要な戦いだ」と発破をかけたという。

 原田氏行脚の3日後の31日には、公明が広島県内の全地方議員を集めた緊急オンライン会議を開催。支持者らによる個別の対話活動のみならず、企業回りによる票の掘り起こしに力を入れる方針を確認した。地元幹部は意気込む。

 「やれることはすべてやる。再選挙は自分たちの選挙でもある」

19年参院選、地元に残ったあつれき

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 再選挙は、2019年参院選広島選挙区(改選数2)での大規模買収事件をめぐり、公職選挙法違反の罪で有罪判決が確定した河井案里氏=自民を離党=の失職に伴うものだ。

 自民は新顔の元経済産業官僚を擁立し、公明が推薦を出した。だが、公明の支持者の間でも、事件に対する不信は根深い。地元の公明幹部は、今回の原田氏の広島入りをこう解説する。

 「公明党支持層がぜんぜん固…

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