アイドルが書けなかった、あの日のこと 佐々木莉佳子さんの14年間

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田部愛
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 書きたくても、書けなかった。自分の人生を変えた、あの日のこと。

 宮城県気仙沼市で生まれ、モデルや俳優として活動する佐々木莉佳子さん(23)は、2014年にアイドルグループ「スマイレージ(現アンジュルム)」に加入した。

 それから数カ月。15年3月10日に更新したファン向けのブログの最後に、こう書いた。

 《明日で4年になりますねっ。》

 4年前になにがあったかは、明かさなかった。 当時は13歳。「まだ(心の)整理がついていなくて、目の前のことに必死で。でも触れないのも違うと思って、迷って書いたんだと思います」

 昨年アイドルグループ「アンジュルム」を卒業し、モデルや俳優として活躍の舞台を広げる佐々木莉佳子さん。東日本大震災の経験からアイドルを目指し、いまも「誰かの光になりたい」と語ります。

 小学3年生のとき、算数の授業中に大きな揺れに襲われた。みんなで校庭に避難。迎えに来た両親と、近くの高台に走って逃げた。振り返ると、走ってきた道が波にのみ込まれていた。ふるさとは大きな被害を受け、自宅も流された。

 家族は無事だったが、9歳の佐々木さんには大きすぎる出来事だった。体を動かすのが大好きで元気いっぱいだったが、ふさぎ込むようになった。

 そんな中で見つけた光が、アイドルだった。

 娘を案じた父親が、気仙沼の…

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この記事を書いた人
田部愛
文化部
専門・関心分野
心と体の健康、ジェンダー、宝塚歌劇、アイドル