アストラゼネカのワクチン「治験が不完全」 米当局声明

ワシントン=香取啓介
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 英アストラゼネカは22日、新型コロナウイルスのワクチンに「症状を防ぐ効果が79%あり、血栓を含む重大な副反応もなかった」とする最終段階の臨床試験(治験)の暫定結果を公表した。これに対し、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)は23日、「治験の有効性に関するデータが不完全だった可能性がある」との異例の声明を発表。速やかにデータを検証するよう同社に求めた。

 同社は、米国などで約3万2千人を対象にした治験の結果を公表。参加者の3分の2がワクチン、残りは偽薬を使い、効果や安全性を調べたところ、ワクチンが発症を79%減らし、重症化は100%防いだとした。また、欧州などで報告されて接種が一時中断した血栓の発生についても、治験では接種を受けた2万1千人余に血栓のリスク増加はなかったとした。

 ところが、発表後にNIAIDが、「データに古い情報が含まれていた可能性がある」などとする声明を発表した。独立した立場にある効果安全性評価委員会から、治験データへの懸念を伝えられたという。治験はNIAIDなど米政府機関が予算支援していた。

 同社のワクチンは英国や欧州、豪州、韓国などで使用許可が出ており、米食品医薬品局(FDA)にも近く緊急時使用の許可を申請するとしていた。日本も1億2千万回分を調達予定で、厚生労働省が承認審査をしている。同社は23日、「発表は2月17日までのデータを使った中間解析だった。評価委員会と連携し、最新の有効性を含む解析結果を共有する予定だ」との見解を出した。(ワシントン=香取啓介)

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