道内236人感染、また最多更新 離島で初のクラスター

芳垣文子 原田達矢 井上潜 松尾一郎
[PR]

 北海道と札幌市などは12日、新型コロナウイルスの感染者が新たに236人確認され、2人が死亡したと発表した。うち札幌市は164人。道内、札幌市ともに感染者数は過去最多を更新。道内の感染者数が100人を超えたのは8日連続となった。新たなクラスターは三つ、うち一つは利尻島で、道内の離島で初めて発生した。クラスターの発生は14日連続、累計で103件(11月は32件)となった。(芳垣文子、原田達矢、井上潜、松尾一郎)

 利尻島・利尻富士町の飲食店で発生したクラスターでは、20~50代の従業員と客の計10人が感染。マスクの着用が徹底していなかった。離島のため、一部の患者は飛行機や船で島外の医療機関に搬送する。道保健福祉部の広島孝技監は会見で「冬に入れば搬送が難しくなる場合もあり心配だ。体制を強化していかなければならない」と話した。

 札幌市では新たに二つのクラスターが発生。専門学校では20~40代の学生18人と教員2人の計20人が感染。市立栄中学校(東区)では生徒8人の感染が確認され、一部学級閉鎖とした。道内の中学校でのクラスター発生は初めて。

 すでに確認されたクラスターでも新たな感染者が判明している。

 札幌市南区特別養護老人ホーム「ドリームハウス」では、入居者1人の感染が新たに判明し、感染者は計57人に。北海道医療センターでは看護師1人の感染が新たにわかり、計13人となった。

 旭川市の吉田病院の関連では、新たに70代と90代の患者3人、看護師と介護職員6人の感染が判明。入院患者1人の死亡もわかった。同病院の感染者は計39人。滝川市の滝川中央病院では新たに患者3人の感染が判明し計12人となった。

 学校での感染判明も続いている。札幌市立東白石小と西白石小では、いずれも40代の男性教職員の感染が判明。市教委によると、市内の小中学校では12日時点で11校15クラスが学級閉鎖しているという。

 帯広市では市立明星小学校の児童1人が感染。15日まで臨時休校する。岩見沢市の道立岩見沢農業高校では生徒1人が感染し、23日まで一部を学級閉鎖する。

     ◇

 「爆発的に患者が増えている」「医療崩壊につながる」。道医師会の長瀬清会長と札幌市医師会の松家治道会長は12日、札幌市内で緊急会見を開き、危機感をあらわにした。

 長瀬会長は各地でクラスターが多発している状況について「第3波に入っている状況だ」と指摘。道によると、医療機関でのクラスター発生はこれまでに16カ所にのぼる。松家会長は札幌市の医療が逼迫(ひっぱく)しているとし、「あと1週間今の状況が続くと医療崩壊につながる。イタリアスペイン、アメリカのような状況が迫っている」と述べた。

 両氏は「市民はできることをやってほしい」とし、マスクの着用や「3密」の回避、体調不良の際には早めのかかりつけ医への受診、そして不要不急の外出を控えるよう強く訴えた。

 感染拡大につながりかねないと指摘される国の観光キャンペーン「Go To トラベル」について、長瀬会長は経済界への配慮をにじませつつ、「道が後押しをするようなことではない」「強く(見直しを)考えてほしい」と述べ、近く鈴木直道知事に申し入れを行うとした。

 一方、鈴木知事は「Go To」キャンペーンの見直しについて、自らの立場を明らかにせず、「感染対策と経済活動の両立」を強調し続けている。12日の道議会決算特別委員会では、「Go To トラベル」事業から道が除外される可能性を問われると、「国が判断する」と道の認識には言及しなかった。赤羽一嘉国土交通相は10日の閣議後会見で、鈴木知事から「Go To」から道を除外しないよう要請されたと明かしている。同委員会ではその事実関係も問われたが、鈴木知事は明確には答えなかった。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

新型コロナウイルス最新情報

新型コロナウイルス最新情報

最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[もっと見る]