繁殖用の犬猫、セカンドライフどこへ 支える取り組みも

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専門記者・太田匡彦
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 ペットショップなどで売られている子犬や子猫の親犬・親猫たちは、シニアになった後をどこで過ごすのでしょうか。ペット業界の一部では、そうした犬や猫たちの「セカンドライフ」を支える取り組みが始まっています。

引退した犬たち 出会い待つ

 東京・両国の「AHBASE(エーエイチベース)」では、繁殖業者のもとで繁殖に使われていた犬たちが、新たな飼い主との出会いを待っている。全国でペットショップ約120店を展開するAHB(東京都江東区)が2018年に開いた、ドッグカフェや動物病院を併設した犬の飼い主向け複合施設で、取引先の繁殖業者が引退させた犬たちを置いている。毎月3、4匹がもらわれていくという。

 7歳で引退したチワワのハッピー(メス)を今年5月に引き取った東京都江東区の会社員、藤野勝子(よしこ)さん(50)は「見た目が若くすごく健康だけど、一部の歯が抜けてなくなっていた。よく頑張ったねえ」。千葉県松戸市の専業主婦、竹内照美さん(36)は「家庭というものを知らずにシニアになった。幸せにしてあげたいと強く思った」と、6歳で引退したポメラニアンのぽん(メス)をなでる。

 環境省は今月、犬猫の繁殖業者やペットショップにおける飼育や管理方法に関する数値規制の案を取りまとめた。業者のもとにいる犬猫の飼育環境を改善するのが目的だ。これまでは明確な基準がなかったために、劣悪な環境で飼育を続ける一部の業者を、行政が適切に監視・指導できていなかった。規制案は来年6月に省令として施行される予定になっている。

 規制案のうち、飼育環境の改善に最も効果があるとみられているのが、飼育者1人あたりの飼育数制限だ。十分な数の飼育者がいれば、複数の目によって法令順守が徹底されやすくなると同時に、より丁寧に犬猫の面倒が見られるようになるためだ。

 ペットショップについては、規制案で飼育者1人あたり犬20匹、猫30匹が上限になる。既に対応できているチェーンが少なくない。「いまでも1人10匹くらい」(コジマ)、「1人5匹くらいの割合で面倒を見ており、(環境省の規制案は)全く問題ない」(ペッツファースト)状態という。

 AHBも既にクリアできている。影響は、一部店舗で運動スペースを新たに設けるために、店頭で展示する子犬・子猫の数を数%減らす程度にとどまる見込みという。

 川口雅章社長は「多少のコスト増は予想され、販売価格に転嫁する必要は生じると思うが、利益水準に影響するほどではないと見ている」と話す。

 一方で、繁殖用の犬は15匹、猫は25匹が飼育者1人あたりの上限となる。主に犬の繁殖業者を中心に、これから家族やパート、アルバイトも含めて飼育に携わる人員を増やす必要があるところが多いとみられている。

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 「問題は、繁殖業者が必要な…

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