千葉県野田市の小4女児虐待死事件にからみ、新たに虐待死事件が発生した場合、県は児童相談所の関わりを含め、一切情報を公表しない方針を決めていたことが、県への取材で分かった。県個人情報保護条例に基づく措置と説明するが、専門家は「虐待死事件の情報は公益性が高く、条例を根拠に公表しないのは不適切だ」と指摘している。

 野田市の虐待事件は警察の発表で明らかになった。報道機関の求めに応じ、県や小4女児を担当した県柏児童相談所が記者会見などで、行政の対応状況などを公表。県の不手際も含め、事件は社会的注目を集め、児童虐待防止法の改正につながるなど、大きな影響を及ぼした。

 一方、児相に助言をする立場の弁護士から「個人情報の取り扱いに注意するべきだ」との指摘があり、県は虐待死事件の情報は一切公表しない対応方針を決定。県児童相談所改革室の戸村順一室長は3日、朝日新聞の取材に対し「個人情報保護の観点から児相の関与を含め、何も言わないことに決まった。野田市の事件は情報を出し過ぎた。不手際だった」と話した。

 この日は市原市で10カ月の女児が衰弱死し、母親が逮捕される保護責任者遺棄事件があり、警察が発表。県は市原市と協議した上で、児相や市の関わりがあったかどうか、報道機関の取材に一切答えないことで合意していた。

 報道各社からの抗議が相次いだため、県は4日、記者会見を開き、市原市の事件に「児相の関与はない」と明かした上で、今後の情報提供のあり方について、戸村室長は「検討したい」とした。野田の事件の広報を不手際とした件は「不手際と発言したことが不手際だった」と話した。

 個人情報法制に詳しい新潟大学…

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