渦中でも続いた汚染水処分の聴取 形ばかりの透明性では
編集委員・佐々木英輔
e潮流
世の中が新型コロナウイルス感染症への対応に追われるさなか、東京電力福島第一原発の汚染水処分に向けた動きが進んでいる。
経済産業省の小委員会が3年越しで報告書をまとめたのは今年2月。放射性物質を浄化処理した「処理水」の海や大気への放出をにじませ、風評被害対策や透明性のある方針決定を政府に求めた。その後、経産省は地元議会などに内容を説明したほか、これまで3回の「御意見を伺う場」を開いた。
だが、その進め方は儀式と呼ぶにふさわしい内容だった。
最初の2回は福島県での開催で、地元首長や団体代表が出席した。1回目は、7都府県に緊急事態宣言が出る前日の4月6日。2回目の13日は東京の政府関係者がリモート出席になった。意見を述べる側は入れ替え制で、そのたびに座長の副大臣が同じあいさつをした。多くは紙に書いた意見を読み上げるだけで、政府側からの質問はほとんどなかった。
東京の経済団体を招いた今月…
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