休業要請は「不可抗力」か 手当の支払い義務めぐり論争

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榊原謙 吉田貴司 滝沢卓 高橋末菜
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 新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言の対象が全都道府県に広がったことで、会社が働き手を休ませた時に払う義務がある「休業手当」の不払いが増える恐れが出ています。行政からの休業要請は「不可抗力」で支払い義務を免れる場合もある、という解釈も。どう考えたらいいのでしょうか。

「企業が払ってくれない」

 「企業が負担を嫌がって、休業手当を払ってくれないという相談が相次いでいる」

 労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」の渡辺寛人事務局長は16日、生活困窮者らを支援する約20団体による緊急申し入れの席で、厚生労働省の担当者らを前に訴えた。

 POSSEには4月15日までに新型コロナ関係の労働相談が860件寄せられ、半数以上が休業に伴う補償に関するものだった。他の多くの労働組合や弁護士などのもとにも、事業者の指示で休業や自宅待機、シフトのカットなどをされているのに、休業手当が支払われないという相談が相次いでいる。

西村大臣は「払ってもらわないといけない」

 「緊急事態宣言が出た場合には、不可抗力として休業手当を払わなくてもいいという解釈を、厚生労働省がやっています。これだとね、休業手当を出さない企業がいっぱい出てくるんです」

 19日のフジテレビ番組で、弁護士で元大阪市長橋下徹氏は、共演したコロナ問題担当の西村康稔経済再生相に激しく迫った。西村氏は「厚労省がどういう風に解釈しているか、もう一度確認する」としつつ、「不可抗力の範囲は、判例も含めて極めて狭い範囲に限定されています。労働基準法に書いてある通りですね、基本的に休業手当は払ってもらわないといけないんです」と応じた。

「不可抗力」の解釈、実際は?

 橋下氏が指摘したように、政府の緊急事態宣言や自治体による休業要請は事業者の負える責任を超えているとして休業手当を払わなくてもいいという「解釈」が、一部で広がりつつある。実際のところはどうなのか。

 労働基準法26条は、事業者…

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