東京や大阪など7都府県の指定からわずか9日。緊急事態宣言の対象区域が全都道府県に拡大された。政府は大型連休中の人の移動を抑えると説明するが、もともと対象区域の知事は域外への移動自粛を促すことができるため、「全国拡大は不要」との見方が強かった。決断の背景に何があったのか。

 16日夜、急きょ開催が決まった政府の新型コロナウイルスの対策本部で、安倍晋三首相は緊急事態宣言の対象区域を全国に拡大すると表明した。政府関係者によれば、当初の予定では17日に諮問委員会を開いた後に、政府対策本部を行う予定だったという。

 当初、対象区域を全国にまで拡大する案には、政府内から否定的な意見が出ていた。政府高官は地域経済への打撃を念頭に「考えとしてはあるが、それはよくない」と話していた。

 実際、政府内では宣言をすでに出した7都府県の指標と同じく、①累計の感染報告者数②感染者数が2倍になるまでにかかる時間(倍化時間)③感染経路がわからない人の割合――の三つを主に分析。これに準じる形で、新たに北海道、茨城県、愛知県、岐阜県、石川県、京都府が対象区域に当たる可能性があるとみて検討を進めていた。

すでに対策打っていたのに

 しかし、首相の決断は、感染者が出ていない岩手県を含む全国への拡大だった。16日の諮問委員会の後、委員からは「基準があって(7都府県と合わせ)13になるなら『そうだな』となるけど、なんで47都道府県になるのか。唐突だ」(日本医師会の釜萢敏(かまやちさとし)常任理事)と驚きの声も上がった。

 なぜ宣言の対象を全国に拡大したのか。

 担当の西村康稔経済再生担当相…

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