沖縄科技大学院大「研究費は人に」成果 世界9位のワケ

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嘉幡久敬
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【科学力】

 「世界最高水準の研究大学」を目指して政府が2011年に設置した沖縄科学技術大学院大学(OIST)が、11月1日に9年目を迎える。質の高い論文を生む機関として早くも国際的な知名度が上がりつつある。新しく築いた基礎研究にふさわしい研究運営の仕組みが生んだ成果だが、同時に、退潮著しい日本の研究環境の課題を浮き彫りにしている。

 沖縄県中部、恩納(おんな)村。リゾートビーチに近い森の中に、海に臨んで四つの建物が並ぶ。働く研究者は教授、准教授ら教員を含め約500人。40以上の国・地域から集まり、半分以上が外国人だ。

 人数は東大の1割未満と小規模だが、研究分野は脳科学、量子科学、海洋生物学と幅広い。学部や学科はなく、スパコンやゲノム解読など高額の研究機器は集中管理され、熟練した専門職員が支援する。「大学全体で共有し、運用のムダを減らす工夫」とロバート・バックマン首席副学長は説明する。

 教員は着任後5年間は必要な研究費が与えられ、自由に使える。5年ごとの業績評価で認められれば継続可能。倍率が高く、成果に関係なく3~5年ほどで打ち切られる国の競争的研究費とは異なる。

 メアリー・コリンズ研究・学務総括副学長は「人を信頼した『ハイトラスト研究費』と呼んでいる。政府の寛容な予算措置のおかげ」と話す。優秀な若手研究者を世界から集めるため採用活動も重視している。今年は約10の教員ポストに約1500人の応募があった。

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