定職も進学も… ニューカマーの子に迫る「貧困の連鎖」

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藤崎麻里
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 大阪府立・門真なみはや高校に通う2年生のモハマド・マハディさん(19)。その前に「進路」という壁が立ちはだかっている。外国にルーツを持つ子どもの前だけに立ちはだかる、制度の壁だ。「教育を受け、安定した職に就きたい」という当たり前の希望も、かなえられる見通しが持てない状況に置かれている。

 「ビザが変えられない。ルールもよくわからない。大学に行くにもお金がない」と、マハディさんは言う。なぜ、八方ふさがりのような状況に陥ってしまっているのか。

「いい未来のために、日本へ」

 マハディさんの家族の出身国はアフガニスタン。戦火に荒れた国土から逃れ、移住した先の中東・ドバイで、マハディさんは生まれ育った。

 来日したのは2015年。中古車販売業を営む父は、日本に移住する理由をこう語った。

 「子どもたちにとっていい未来のために、日本へ行く」

 15歳で来日したマハディさんだが、中学校に通うことはできなかった。当時住んでいた自治体では「学齢通り」でしか中学校への入学を認めてもらえなかったからだ。

 日本語もまったくわからず、社会との接点もないまま、約1年を孤独に過ごした。父の知人に紹介してもらった夜間中学でやっと学ぶことができ、1年通って18歳で門真なみはや高校に入学した。

 日本で父の仕事を手伝いながら、いずれは自分のビジネスもやりたい――。教育の機会を得て、ようやくマハディさんも将来に夢が持てるようになった。

 ところが、マハディさんの夢の実現を、さまざまな制度が阻んでいる。

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 まずは「ビザの壁」だ…

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