(EYE モニターの目)今月のテーマ:新企画「ThinkGender~ジェンダーを考える」

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 ■LGBTQの報道に期待

 企画の名称が「DearGirls」から「ThinkGender」へ変更されたことを好意的に受け止めた。以前の企画名は、女性は男性よりも下だとする社会のヒエラルキーに基づいた固定観念が感じられた。新企画は中立的な名称であり、LGBTQに関する報道も期待できる。ただ、11月12日の「女性登用 試される本気」は、政治家がジェンダー問題をひとごととしてとらえているという印象を受け、失望した。ジェンダー問題の重要性などを訴える今後の取り組みに期待したい。(井上美穂 18歳 東京都)

 ■若者への応援に共感

 男女雇用機会均等法が施行されたころに社会人となった。当時の職場はジェンダー平等には程遠く、女性だから、男性だからと昔ながらの慣行が続いていた。セクハラと思われる言動も多かったが、バブル景気がそれらを一気に流し去った気がする。11月12日の「女性登用 試される本気」にあった緊急避妊薬の例のように、とりわけ若者や女性の意見、要望を生かせる仕組みが必要だ。新企画の「若い世代が自分らしく生きられるよう応援したい」という考えに共感する。(伊藤亮 54歳 秋田県)

 ■女性の数が問題ではない

 経団連が掲げた企業の役員に占める女性を「30年までに30%以上」という根拠はどこにあるのかが伝わらなかった。女性を一定数登用しただけで多様性が生まれるわけではないし、女性だから女性の気持ちを代弁できるとは言えない。女性たちが望んでいるのは、男女差なく、公平に評価され「そのポジションにふさわしい優れた人を選んだ結果、女性が増えた」となることではないか。政界でも企業でも、人材育成に取り組む姿勢こそが本当の意味での格差是正につながる。(市原美穂 39歳 千葉県)

 ■女性の選択肢増につなげて

 数値目標の達成率をもって「成功」「失敗」と決めることはせず、女性の選択肢が増えることにつながる記事を増やして欲しい。「リーダー層3割を女性に」「クオータ制の導入促進」と形だけを助長するような記事にして欲しくない。男女比較の中で語るのでなく、すべての女性が質の高い生活を送れるような動きを支えていきたい。望まない非正規雇用をできる限り減らして正規雇用を促進する、産休・育休後は元の条件で復帰できるなど、女性の人生に重きを置いてもらいたい。(山口修司 58歳 神奈川県)

 <自らの足元も点検しながら>

 性別にとらわれず平等に機会があり、誰もが「ありのままの自分」で生きられる社会にしたい。そんな願いを込めて、新企画〈ThinkGender〉を始めました。

 日本の男女格差は大きく、ランキングは世界121位(2019年)。政府は年内に「第5次男女共同参画基本計画」を決めますが、以前からの目標が先送りされたり、未達成だったり。たとえば男性の育休取得。制度はあっても「男は仕事優先」「子育ては女の役割」といった、ジェンダー(社会的・文化的な性差)にもとづく固定観念や雰囲気が、取得を妨げています。

 朝日新聞は17年から、次代を担う若い女性を応援しようと3月の国際女性デーを中心にした企画〈DearGirls〉でジェンダーの課題を提起してきました。そして今春、自らの足元で多様性を確保しようと、数値目標を掲げた「朝日新聞社ジェンダー平等宣言」を出しました。社内では数値化に異論も出ましたが、具体的な数字が達成への推進力になると決めました。

 その自己点検も忘れず、新企画を通じて読者の皆さんと考えを深めたいと思います。モニターの方々から関心を寄せられたLGBTQも大切なテーマです。(編集局長補佐・岡本峰子

 ◇東京本社発行の朝刊、夕刊の最終版をもとにしています

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