(社説)野党統一会派 結束して政権に対峙を

社説

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 「1強多弱」と呼ばれる国会に、緊張感を取り戻す契機としなければならない。

 民主党から民進党を経て分裂した立憲民主党国民民主党などが、国会で活動をともにする統一会派を結成することで最終合意した。衆院117人、参院61人の勢力で、衆院では第2次安倍政権発足以降、最大の野党会派となる。

 6年9カ月に及ぶ長期政権のおごりと緩みは明らかだ。先日の内閣改造で、加計学園の獣医学部新設問題への関与が取りざたされた萩生田光一氏を文部科学相に起用した人事など、その典型だろう。国会運営においても、野党による臨時国会召集や予算委員会の開催要求を一顧だにせず、立法府の行政監視機能を空洞化させてきた。

 その責任の一端が、バラバラな野党の非力にあったことは否めない。今回の結集の力をバネに、政権の権力行使を厳しくチェックする野党本来の役割を果たさねばならない。

 会派結成の最終合意は、党首会談での合意から1カ月を要した。会派名や人事などの調整に時間がかかったようで、分裂によるしこりが今も大きいことを印象づけた。「元のさやに戻っただけ」との冷ややかな見方があることも事実だ。

 ここで民主・民進時代のような内紛を繰り返すようでは、国民からの信頼回復はおぼつかない。結束して政権に対峙(たいじ)する。その使命を忘れずに、単なる「足し算」以上の成果につなげる覚悟と工夫が求められる。

 10月4日召集の臨時国会が最初の試金石だ。これまでは、野党同士で重複する質問も少なくなかったが、これからは党を超えて議員間の連携を深め、論戦の活性化につなげてほしい。

 政策面では、消費増税脱原発、改憲論議のあり方などで、議員間の温度差が指摘される。政党が違う以上、すべてを一致させることは難しいとしても、政権与党に足並みの乱れを突かれぬよう、徹底的な議論のうえで折り合いを見いだすことが必要となろう。

 17年の前回衆院選は、野党の態勢が整っていないことを見越した「不意打ち解散」だった。2年以内に必ず行われる次の衆院選に向け、自公政権に代わる選択肢を準備することも、野党の重要な役割だ。統一会派に参加していない他の野党を含めた選挙協力が課題となる。

 立憲の枝野幸男代表は今夏の参院選後、衆院選に向けて野党間の連携をさらに強め、「政権の選択肢としての立場を有権者に示す決意だ」と語った。新たな民意の受け皿となりうるか、まずは統一会派の実績が厳しく問われることになる。

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