黒石寺蘇民祭、最後の日 千年続いた裸祭り、巻き上げた熱気の行方は
【LastDay】1000年続いた裸の争奪戦 黒石寺蘇民祭、最後の日
「ジャッソウ、ジョヤサ、ジャッソウ、ジョヤサ」
気温1度。北国の凍えるような山々に、上半身裸の男たちの威勢の良い掛け声が響き渡った。
2月17日夜。岩手県奥州市の古刹(こさつ)・黒石寺で、千年以上も引き継がれてきた伝統行事「黒石寺蘇民祭」が幕を下ろした。
午後6時。下帯姿の男たちが山内川に入り、頭から水をかぶって身を清めた。暗闇の中を角灯を掲げて薬師堂などを巡り、五穀豊穣(ほうじょう)などを祈った。
午後10時には「ジャッソウ、ジョヤサ」の掛け声が突然、罵声と怒声に変わる。
殺気だった男たちは、御利益があるとされる「蘇民袋」を手にしようと、体中から真っ白な湯気を立ちのぼらせ、激しく体をぶつけ合う。
祭りの目玉「蘇民袋争奪戦」の始まりだ。
黒石寺は昨年末、関係者の高齢化や担い手不足を理由に、来年以降は祭りを行わないと発表した。
しかし、全国から駆けつけてきた、参加者たちの思いは収まらない。
「今年で終わりにしたくない」
「来年も続けてほしい」…
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