夜の廊下で給食、母に「頑張ったね」 教師らの危機感と守られたもの
熊谷姿慧
がらんとした夜の廊下で、いつも給食をかき込む。この日は、焼き魚が入った幕の内弁当と牛乳。
午後7時すぎ。神戸市立丸山中学校西野分校(須磨区)は夜間中学。もう2時間目の授業も終わりに近づいていた。
ベトナム出身の3年生、トラン・ティ・トゥイ・ジームさん(44)。午後6時まで靴をミシンで縫う仕事をしているから、登校はいつもこの時間になる。
授業には遅れても、給食はしっかり食べる。それが教師たちの思いだから。仕事の後、空腹のまま勉強するよりも、まずは栄養補給して欲しいという。
この日は、珍しく級友も一緒だった。「ジームさんはゆっくり食べて」。そう声をかけた少し年上の男性に続き、牛乳を飲み干して教室へと入った。
娘との約束、いじめられた過去……夜に再び学ぶ。その機会を守ってきたものとは。
ほぼ毎日登校している。「勉強大好き!日本語大好き!西野分校大好き!」だから。
入学のきっかけは、少し悲しい。
「ママ、日本語勉強してほし…
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