2024年問題、演劇や音楽界にも 運転手足りず「地方公演が減る」
トラック運転手にも時間外労働の上限規制が適用され、運転手不足が危ぶまれる「2024年問題」。文化芸術の分野にも影を落とし、演劇や映像、音楽業界に懸念が広がっている。(平賀拓史、増田愛子、定塚遼)
「2年先まで公演が決まっているのに、人手が足らない」。演劇やミュージカル関係の搬送を多く請け負う、埼玉県にある運送会社の男性幹部はもらす。
幹部が強調するのが、業務の特殊性だ。大規模な公演では、規格外の照明セットや大道具も多い。ツアーのためにオリジナルの荷台を組み、パズルのように荷物を積み込む。「ドライバーを雇ったとしても、すぐに習熟できる仕事ではない」と幹部は言う。
深刻な運転手不足が懸念される2024年問題。影響は演劇、ドラマ、映画、音楽など広いジャンルに及びそうです。
「具体策がなく頭を悩ませている」と話すのは、毎年、ツアー公演を行う劇団「文学座」の担当者。今年度は2作品が近畿、北陸、九州など計50都市以上を巡った。従来は運送会社のドライバーを帯同し、11トントラック1、2台で大道具などを移動させてきた。「ドライバーを増やせば、その分の人件費がかかり、経済的に締め付けられる」
東京で開幕した主催公演を、地方の各都市でも上演する「パルコ劇場」。7月、24年問題の影響を運送会社に聞き取りした。従来は東京公演最終日に大道具などを搬出、翌日に大阪の劇場に運び込むといった日程を組んでいたが、来年度以降は搬入までにもう1日必要となることが明らかに。同じ曜日に千秋楽を迎える劇場が多く、規制への対応で必要なドライバー数が増えると、搬出用トラックを手配できない可能性があることも分かった。経費増加や地方公演の減少を見込むという。
東京で制作された舞台のツア…