ウクライナ支援の長期化 突きつけられた二つの「正面」どう向き合う

有料記事多事奏論

記者コラム 「多事奏論」 アメリカ総局長・望月洋嗣

 主要7カ国首脳会議(G7サミット)が広島で閉幕した翌日の紙面で、ニューヨーク・タイムズは「ゼレンスキー大統領はG7首脳からの支持をつなぎとめた」と1面で報じた。「戦時大統領」であるゼレンスキー氏の出席で、サミットは日本と欧米がウクライナ支援で団結したという強い印象を残した。

 だが、G7で最大の6兆円超を軍事支援に投じる米国では、長期化の様相を濃くするウクライナにどう関わっていくかをめぐり、議論も起きている。

 4月下旬、「ウクライナでの勝利は台湾での戦争の抑止に決定的に重要だ」と題された討論会が、ワシントンの保守系シンクタンク「ハドソン研究所」で開催された。支援の重要性を訴えたのは、同研究所のジョン・ウォルターズ所長だ。

 「ウクライナ侵攻の結果は、米国が台湾のために軍事介入するかどうかを左右する」「米国が同盟・友好国の危機に深く関与するかのテストケースとみなされている」「米国が支援から引けば、欧州は政治、経済、軍事の各面でワシントンを支持しなくなり、中国は欧州との新たな関係を模索するだろう」

 こうした発言に代表されるウォルターズ氏の主張は、中国への牽制(けんせい)を視野に入れつつ、ウクライナ支援を中心議題としたG7の姿勢にも重なる。ウォルターズ氏は、岸田文雄首相や台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統も、ウクライナ支援が中国の抑止につながるという考え方をしている、とも語った。

 これに対し、共和党のトラン…

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