「究極の循環型社会」 下水汚泥の肥料利用拡大へ、初の官民検討会

初見翔
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 政府は17日、下水処理の過程で出る汚泥を農業向けの肥料として活用するための官民検討会を開いた。下水汚泥には人のし尿に由来するリンなど肥料の原料となる成分が豊富に含まれるが、肥料として使われているのは1割にとどまる。

 検討会は、岸田文雄首相が9月に「(下水汚泥の)利用拡大により肥料の国産化・安定供給を図る」よう指示したことを受けて農林水産省国土交通省が設けた。検討会は農水省と下水道を管轄する国交省の幹部や学者、肥料メーカーの担当者らで構成され、年内をめどに利用拡大に向けた課題を整理する。

 この日の初会合で、農水省の岩間浩審議官が「官民が一つのテーブルで議論する初めての取り組み。大変よろこばしい」とあいさつ。国交省の松原誠下水道部長は「昔やれていたことを今のシステムのなかでどう実現していくのか。究極の循環型社会の実現だ」と述べた。

 出席者からは「下水汚泥という名前のイメージが悪い」「コストや安定供給の面で課題がある」などの意見が出たという。

 国内の農業で広く使われている化学肥料は、原料のほぼ全てを海外に依存している。中国やロシアなど一部の地域に偏在していることもあり、ウクライナ情勢などを受けて調達価格が高騰。輸入できなくなるおそれも指摘されている。

 政府は月内にまとめる総合経済対策に、下水汚泥の利用拡大に向けた事業者の支援策を盛り込む方針だ。

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