「障害者に農業できない」 諭され、怒られ、社長の先入観は変わった

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大平要

 障害がある人が生きがいを持って働く場として、農業が注目されている。多くの障害者を雇用してきた野菜農家、京丸園(浜松市)社長の鈴木厚志さん(57)は、「日本の農業を救うことができるのは、障害者だ」と言う。どういうことなのか。

 京丸園はいま、従業員の5人に1人が障害者だ。だが鈴木さんは以前、「障害者に農業はできない」と思っていた。その考えを変えたのは、障害者の息子を育てる一人の母親だった。

 鈴木さんは浜松で、約400年続く農家の長男として生まれた。農業高校、農業大学と進み、1985年、当たり前のように農業の世界に入る。当時から、日本の農業は危機にあるとされていた。高齢化のなかで、常に担い手不足だった。それでも、求人に応募してくる障害者を鈴木さんは断り続けていた。「彼らは働けない、と思い込んでいた」

 あるとき、その女性がやってきた。給料はいらないから京丸園で息子を働かせて欲しい、という。「農業は難しいと思いますよ」。正直にそう伝えると、女性は首を横に振って言った。

 「お年寄りが重い肥料をトラ…

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この記事を書いた人
大平要
経済部|名古屋駐在
専門・関心分野
企業経営、働き方、地方創生、産業政策