岐路に立つメディアとAIの関係 記事の無断利用やニュース要約も

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真田嶺 後藤遼太
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 メディア企業と生成AI(人工知能)の関係が岐路に立っている。記事の提供など連携する動きがある一方、生成AIによる報道コンテンツの無断利用も発生。AIを使ったニュース要約も急拡大しており、危機感が広がる。

 報道機関が生成AIによる記事の利用を防ぎたい場合、サイトに「robots.txt」という特定のファイルを設置する。サイトを巡回するAI事業者の情報収集ロボット(クローラー)に対し、拒否の意思表示をして、サイトを見ないよう指示する仕組みだ。

 しかし、こうした指示を一部の事業者が無視し、無断利用が起きているとみられる。

 AIの情報収集を監視している米トールビット社の調査ではrobots.txtを回避したクローラーの情報収集(スクレイピング)が、昨年後半の間に4割超増えたと報告された。同社は「望まれないスクレイピングを防止する手段として不十分だ」と指摘する。

AI検索の拡大で増える「ゼロクリックサーチ」

 生成AIとメディアの関係を巡っては、米紙ニューヨーク・タイムズが米IT大手アマゾンと、生成AI開発のため記事を提供する契約を結ぶなど、連携する動きもある。

 一方、懸念も広がる。

 注目されているのが「検索拡…

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この記事を書いた人
真田嶺
社会部|メディア担当
専門・関心分野
SNS、移民、国際情勢、ポッドキャスト
後藤遼太
東京社会部|メディア班キャップ・平和担当
専門・関心分野
戦争や平和について、歴史
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    鳥海不二夫
    (東京大学大学院教授=計算社会科学)
    2025年6月4日23時4分 投稿
    【解説】

    AIがメディアの情報を活用してゼロクリックサーチを実現すると、メディア自体の持続可能性が失われ、新しい情報が生み出されなくなる恐れがあります。その意味でも、長期的な視野に立てば、AI事業者もメディアが作り出す情報を尊重する方が良い戦略である

    …続きを読む