後藤遼太

東京社会部 | メディア・平和担当
専門・関心分野日本近現代史、平和、戦争、憲法

現在の仕事・担当

パリ五輪・パラリンピックの担当を終え、10月から新たに「メディア担当」になりました。激変するメディア環境やネット社会のひずみを見つめ、森羅万象に興味を持って食らいついていこうと思っています。2023年から担当している平和問題も取材継続中。先の大戦で心に傷を負った元兵士らを取り上げた「戦争トラウマ」問題を追っています。

バックグラウンド

1983年長野県生まれ、2007年入社。静岡総局を振り出しに、東京社会部、神戸総局を経て2021年から再び東京社会部。東京都庁、東京地高裁、会計検査院、宮内庁などを担当したほか、「何でも屋」の遊軍のキャリアが長いです。1面コラム「天声人語」の補佐役も1年間経験。遊軍では憲法、人権、歴史、平和問題などを担当してきました。

戦争取材に興味を持つようになった原点は、戦時中に南方ラバウルにいた祖父の話をきちんと聞くことなく死別してしまったという経験です。趣味はキャンプ。息子3人と自然の中で遊び、リフレッシュしています。絵を描くのも好きで、過去に何度か法廷画を描いています。

仕事で大切にしていること

大学時代は「ラテン語でローマ法を読む」というマニアックなゼミに所属していました。大の歴史好きです。高校生の時に、ロシア革命を描いたジャーナリストのルポルタージュ「世界を揺るがした10日間」を読み、「歴史を書く」という新聞記者の仕事の魅力に関心が向きました。

著作

-『もの言えぬ時代 戦争・アメリカ・共謀罪』(朝日新聞出版、2017年)= 共編著

タイムライン

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横顔・東京24区の主な候補者

 衆院選が15日に公示され、27日に投開票される。各選挙区でどのような人が立候補しているのか。各候補者の歩んできた人生や、立候補に至った思いなどを紹介する。(届け出順) ■参政新顔・與倉さゆり氏  26歳から9年間過ごした米・ロサンゼルスでの生活が、政治を目指すきっかけの一つになった。  東京都中野区出身。高卒後、職を転々としたが、子供の頃から好きだった映画に携わりたいと一念発起。単身渡米し演技の学校に通い、ドラマや映画にエキストラ出演もした。役者の仕事に熱中する一方、「海外で改めて日本の文化や歴史のすばらしさを実感した」。  新型コロナの流行で帰国を余儀なくされたことが転機に。「日本の根幹である皇室や神話を教えられるような教育改革と、日本経済の復活を成し遂げたい」と政治の道に進むことを決めた。  息抜きはカラオケ。「マイクを握ったらなかなか離さない」という。選挙区の八王子について「豊かな自然にあふれるこの地から選挙に出られるのは光栄です」と話す。 ■立憲新顔・有田芳生氏  「萩生田光一議員に対する『刺客』として、立候補することを決意しました」  出馬会見でこう宣言した。フリージャーナリストとして、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を長年取材してきた自負をにじませる。  参院議員を2期務め、立憲民主党の副幹事長などを歴任したが2022年に落選。昨年は、安倍晋三元首相の死去に伴う衆院山口4区補選に挑んだが敗れた。  東京都八王子市で毎月開かれる反戦平和の訴え「八王子アクション」で1年以上マイクを握ってきた。その姿勢を見た市民運動グループに請われて出馬を決めたという。  社会運動に関わり始めたのは17歳のころ。「もう、人生後期の仕事だね」と笑う。「不公正で不正義な政治を、八王子から変えていきたい」 ■国民新顔・浦川祐輔氏  高校生のころ、民主党(当時)による政権交代が起きた。授業で政治について取り上げられることが増え、政治に興味を持った。  「知識の無いままじゃダメだ」と大学で法律を学び、弁護士に。その後、「法曹界での経験を次につなげる」と政治の世界に飛び込んだ。今回の選挙では、減税や社会保険料の軽減で「手取りを増やす」と訴える。  趣味は映画製作。撮影もするし脚本も書く。大学では映画研究会に入り、弁護士になってからは映画の助監督を務めたことも。選挙区の八王子を盛り上げる秘策として「映画ロケ誘致」を挙げる。「題材になる土地はたくさんある」と話す。  X(旧ツイッター)で法律の話題を中心に積極的に投稿する。「結構知られた存在」とSNSでの発信力には自信を持つ。 ■維新新顔・佐藤由美氏  目指すのは「多様な生き方を前提とした社会」だ。「氷河期世代や非正規など、今まで放置されてきた人を救いたい」  大学卒業後、法テラス(日本司法支援センター)で法律相談の現場に立ち続けてきた。2000年代、倒産や自己破産の急増を目の当たりにし、「社会構造を変えなければ」と実感。政治を志す原点になった。  09年に民主党候補として都議選に当選。都議を1期務めた。24区から衆院選に挑戦するのは、21年に続いて2度目。所属していた「教育無償化を実現する会」が日本維新の会に合流したため、維新候補として今回の選挙に臨む。  大学時代から中型バイクに乗っていた。ただ、今は時間がなかなか取れず、旅行雑誌でビーチの写真を見て気分転換している。 ■無所属前職・萩生田光一氏  選挙戦直前に自民党非公認が決まった。無所属で挑む異例の展開になった。  27歳で市議に初当選し、都議、国会議員と務めてきた「たたき上げ」だ。安倍晋三元首相の側近としても知られ、安倍派の有力者「5人衆」の一人とされた。  文部科学相や経済産業相を歴任した。文科相時代には小学校の「35人学級」の実現にこぎ着けた。「子どもの教育環境を変えてきたという自負がある」という。  安倍派を中心としたパーティー券収入不記載問題では、自身も2728万円の不記載が判明。「深く反省している。事実は事実として、やり直していきたい」  数年前に飼い始めた犬の散歩が息抜き。犬種はフレンチブルドッグで、「顔が似ているとよく言われます」。

6日前
横顔・東京24区の主な候補者

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揺らぐ自民の「帝国」、街頭で怒鳴りあいも 裏金問題が変えた選挙戦

 衆院選が公示される1週間ほど前だった。  東京都八王子市に住む古参の自民党員の男性に突然、電話がかかってきた。  八王子市の大半が入る衆院東京24区は、全国的にも注目される選挙区のひとつだ。  電話をかけてきたのは、その東京24区での立候補予定者のひとりだった。  「あんたとはねじれちゃってるけど、頼む。(職場を)回ってくれないか」  仕事関係の知人に支持を呼びかけてほしい、という依頼だった。  電話は、萩生田光一氏(61)からだった。男性とは旧知の仲だが、数年間、疎遠になっていた。それでも急に電話してきたことに、男性は驚いたという。  15日に公示された衆院選で大きなテーマと位置づけられているのが、自民党派閥の裏金問題だ。  その最大の舞台となったのが安倍派の政治資金パーティーであり、安倍派の有力者「5人衆」の一人だった萩生田氏も、政治資金収支報告書で2728万円の不記載が判明した。  党の役職停止の処分を受けたうえ、新たに就任した石破茂首相の方針にもとづき、公示直前になって萩生田氏は公認を得られないことが決まった。  男性に電話がかかってきたのは、非公認の見通しが報じられたころだ。電話口から、焦りがにじんでいた。  萩生田氏は地元の八王子市の市議や都議を経て、衆院議員を6期務める。  安倍晋三元首相の最側近として知られ、党の要職も歴任。前回衆院選では2番手に10万票以上の差をつけて圧勝しており、元秘書らが市議として名を連ねる八王子市は地元政界で「萩生田帝国」と呼ばれてきた。  その「帝国」がいま、揺らいでいる。  裏金問題による逆風にくわえ、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係についても、2022年の参院選で立候補予定者を伴って教団施設を訪問したことなどが発覚し、批判を浴びた。  今年7月の都議補選では擁立した元自民市議が惨敗し、地元の議員関係者に衝撃が広がった。  「補選以来、本人もピリピリしている」(選対関係者)。危機感を募らせた萩生田氏が力を入れたのが、「どぶ板」の活動だ。  党幹部として全国をまわっていた状況から一変。関係者によると、15分刻みでスケジュールを組み、市内の中小企業3~4カ所の朝礼に顔を出す。  昼や夜は業界団体の会合や市議の後援会の集まりにこまめに出席。毎回、裏金問題について「ご心配をおかけした」と頭を下げているという。  「地上戦」以外にも手を広げる。  「もともとはSNSが嫌いだった」(周辺)というが、ネット番組のインタビューを受けたり、X(旧ツイッター)に昼食でラーメンを食べる様子を投稿したりするようにもなった。  そのうえで、無所属で立候補した萩生田氏が頼るのが、安倍派に連なる人脈だ。  16日は安倍元首相の妻の昭恵氏が会合に参加し、「主人の後を継ぐのは萩生田さん」と涙ながらに激励。17日には高市早苗前経済安全保障相が駆けつけ、「懸命に働いてきた萩生田候補の実績を、もう一回思い出してください」と呼びかけた。  それでも、街頭に立てばヤジが飛ぶ。19日には「20年来の友人」という日本維新の会前代表の松井一郎氏と一緒に街頭演説し、「意図して裏金づくりや私的流用、脱税をしたという事実は全くない」と訴えると、聴衆から「言い訳するな! 国会で説明しろ」と声が上がった。  「ウラ金2728万円」「裏金議員いらない」などと書かれたプラカードを手にする人たちと支持者が怒鳴りあうなど、騒然とする場面もあった。  「クリーンな政治」を掲げる公明党も今回、推薦を見送っている。八王子市には創価大など、公明の支持母体・創価学会の関連施設が多く、存在感も大きいが、萩生田氏とは距離を置いている。  「親の代から自民一筋」という後援会員の80代女性も「引き出しに3千万円近くも入れていたなんて冗談じゃない」と怒りが収まらない。  50年以上、飲食店を切り盛りしてきたが、周囲ではコロナ禍後、店をたたむ人が多い。税務調査が入れば、数千円の食い違いでも伝票の束をひっくり返しての大騒ぎ。そんな苦労を知っているからこそ、裏金問題が許せないという。  「そんな中で金の汚い話を聞かされると、さすがに愛想が尽きた。かといって野党も信頼できず、投票する心境にもなれないし……」  選挙区は白票を入れようかと悩んでいるという。 ■批判強める野党、批判票が分散のおそれも  「萩生田氏を落とす千載一遇のチャンス」。野党側がそう勢いづくなか、立憲民主党が擁立したのがジャーナリストの有田芳生氏(72)だ。  「『刺客』として立候補することを決めた。一部の政治家が裏金をためこんで特権化した日本社会の象徴がここだ」  公示前、有田氏が市内のホールでそう力を込めると、集まった支援者から拍手がわいた。  立憲の狙いは明確だ。有田氏はジャーナリストとして以前から旧統一教会を追及しており、裏金問題にくわえ、「教団の問題も思い出させてくれる」(立憲都連幹部)と争点化を図る。  各地で候補者を積極的に擁立した共産党も、東京24区では早い段階で立候補を見送り、支援にまわっている。  市内で毎月開催される反戦平和の訴え「八王子アクション」に有田氏が1年以上前から参加し、野党共闘を呼びかけてきた市民団体「市民連合」の支持を得た点が評価されたという。  「有田氏でなければ、こうはいかなかっただろう」と共産市議は話す。  陣営にとっての誤算は、日本維新の会と国民民主党の動きだ。  維新公認で立候補した元都議の佐藤由美氏(52)は、前回衆院選で国民民主から立候補し、次点だった候補。その後、教育無償化を実現する会に合流して国民民主とたもとを分かち、公示直前に維新に合流した。  「萩生田氏から離反した層を取り込む」と意気込む。  佐藤氏の動きを受け、国民民主は弁護士の浦川祐輔氏(31)を擁立。浦川氏は「裏金や旧統一教会の批判だけしている人や、国民民主を裏切った人とは一本化できない」と、立憲や維新陣営への批判を強めている。  萩生田氏への批判票が分散しかねない状況のなか、立憲の野田佳彦代表が公示日の第一声の場所に選んだのが、自民の問題点を浮き彫りにできる東京24区の八王子駅前だった。  「裏金議員を裏から助け、旧統一教会も裏金議員を裏から支えてきた。裏、裏、裏の自民党政治と決別しようではありませんか」と批判のボルテージを上げたが、拍手に交じって聴衆の一人の怒声が響いた。「野田さん、本気で野党をまとめろよ!」  萩生田氏も反論に力を入れており、演説では「野党候補は私の批判のためにこの選挙区を選んだ。この大切なふるさとを、批判のためだけにきた人に渡すわけにはいかない」と語気を強める。  参政党からは與倉さゆり氏(40)が立候補し、「教育改革と日本経済の復活を成し遂げたい」と主張。ほかに無所属新顔の畑尻文夫氏(69)も立候補している。  石破首相の就任からスピード解散だったことをふまえ、野党関係者の一人はこぼす。「短期決戦で野党側がまとまる時間がなかったのが本当に痛い」 ■東京24区候補者一覧 與倉さゆり 40 参政新  飲食会社員 有田 芳生 72 立憲新 比  ジャーナリスト 畑尻 文夫 69 無所属新  〈元〉学習塾経営 浦川 祐輔 31 国民新 比  弁護士 佐藤 由美 52 維新新 比  〈元〉都議 萩生田光一 61 無所属前(6) 〈元〉経産相  届け出順。敬称略。氏名の後は投開票日(27日)時点の年齢。比は比例区と重複立候補。()内の数字は当選回数 ■東京24区、おりのようにたまった課題を内包  前回衆院選から3年。日本政治を動かしてきたのは岸田政権だった。個々の政策を除けば、この間に新たに加わった課題が大きく二つある。  一つは、安倍氏死去によって注目を集めた旧統一教会と自民の関係だ。一昨年の問題発覚後、自民は教団と各議員の過去の接点を報告したが、その後も新たな事実が次々に判明している。  朝日新聞は9月、安倍氏と旧統一教会会長らが2013年に自民党本部の総裁応接室で面談していたとみられると報じた。今月には、石破内閣で法相に就いた牧原秀樹氏が、旧統一教会や関連団体の集会・会合に少なくとも10回出席していたことも明らかになった。  だが首相は、「新たな接点が明らかになれば追加的に報告説明を行う」としつつ「現時点で対応が必要とは考えない」と再調査に消極的だ。  もう一つは、昨年末からくすぶり続ける裏金問題だ。自民は4月に関係者を処分したが、起訴された前議員の公判は続いており、事件としても終結していない。不正な手続きでプールされた資金の使途はなお判然とせず、実態解明は遠い。法改正で再発防止策を講じたとするが、「政治とカネ」に根本的なメスが入ったわけでもない。  東京24区は、12年の政権再交代以降、積み重なってきた多くの問題を内包する選挙区でもある。第2次安倍政権以降、要職にあり続けた萩生田氏の政治力はなお大きく、その当落は今後の石破首相の政権運営にも少なからず影響を与えそうだ。

8日前
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「障害者はかわいそう」で終わらせない 当事者たちのパラ報道

 8日に閉幕したパリ・パラリンピックの会場では、様々な障害のある記者や関係者が報道に関わった。現役選手も解説するなど競技の魅力の発信に一役買っている。  「障害のある記者が水泳会場だけで5人いた。これまでは見かけたことも無かったのに」  義足のブラジル人記者、タイアナ・ロペスさん(29)は、かつて取材したリオ、東京大会との違いに驚いた。今大会は記者用のエレベーターも設置され、「観客席だけでなく、記者席のバリアフリーも進んだ」と話す。 ■「障害者はかわいそう」を変えたい  7歳の時に右足にがんの一種の骨肉腫が見つかり、太ももを切断した。水泳選手としてパラリンピック出場を夢見ていたが、2012年のロンドン大会をテレビで見て、「記者として行く道もあるのか」とハッとした。  地元開催のリオ大会には、ブラジル・パラリンピック委員会の報道担当として関わり、その後、ウェブメディア会社を設立。自国のパラ選手のことを伝え続けている。  障害者として報道に携わる強みは「障害を持った経験や、パラ選手としての経験があること。選手の気持ちに寄り添った質問ができる」と自己分析する。  「ブラジルではいまだに『障害者はかわいそう』という目で見られる。パラ選手の話を伝えることで、社会の意識を変えたい」  パラリンピック報道に力を入れる英公共放送「チャンネル4」は、障害者の採用を増やしている。ランチタイムに手話教室を開いたり、職場のエレベーターに音声案内を導入したりしているという。また、障害者が出演する番組も多数放送してきた。  アレックス・マホン最高経営責任者(CEO)は「障害者が社会でどう受け止められるかについて、メディアは大きな影響を持つ」と話す。  NHKは今大会、10以上の競技で元パラアスリートらを解説者やアナウンサーとして採用した。 ■パラリンピック報道で未知数の挑戦  4日未明に放送されたブラインドサッカーのアルゼンチン戦では、ブラインドサッカー元日本代表で現役選手の加藤健人さん(38)が解説した。  自身は試合映像は見えない。ヘッドホン越しに聞こえる会場の選手や監督、ガイドの声、ボールの音を聞き分け、「いま誰がボールを持っていますか?」とアナウンサーに尋ねるなど、対話しながら解説した。  「監督が『セット』と声をかけているので、日本は守備から1―2―1のダイヤモンドの形になっていると思います」  「ボールを持っている時はほとんどボールの音を聞かず、選手やガイドの声を聞いてシュートのタイミングをはかっています」  現役選手ならではの説明に、SNSでは「分かりやすかった」と好意的な反応が広がった。  ブラインドサッカーの中継で、加藤さんのように聴覚だけで解説するのは初めての試みだ。「パラリンピックに選手としては出られなかったけど、解説として携われて光栄。緊張したし頭を使って疲れました」と笑う。  ブラインドサッカー日本代表がパラリンピックに出場するのは、東京大会に続いて2回目。昨年に自力出場を決めた時、加藤さんは「自分も何かできることはないか」とNHKに相談した。  今年1月、日本代表のサッカー合宿を取材者として訪れていた際、NHKから「解説をやりませんか」とオファーを受けた。「驚いたし、うれしかった」という。  東京大会の録画を流し、アナウンサーと試行錯誤しながら解説の練習を重ねた。従来、ブラインドサッカーの解説は健常者が担当してきたが、耳からの情報だけでどう話すか、未知数だった。  NHKは当初、加藤さんと健常者のダブル解説を想定していたが、現役という加藤さんの強みを生かすため、会場の音や声を聞き取り、選手ならではの観点で説明するスタイルに落ち着いた。  健常者の実況や解説では、どうしても「見えないのにプレーできてすごい」という解説になりがちだと加藤さんは言う。「確かに選手の『すごさ』を知ってもらうのも大事です。でも、戦術とか選手の考えとか、プレーをより深く知ってもらうことで競技自体の魅力を発信できる。それが自分が解説する良さだと思っています」と話す。  アナウンサーと加藤さんの実況解説について、NHK広報局の担当者は「お互いを補い合って試合を伝えるという、パラリンピックにふさわしい中継解説のスタイルになった。当事者アスリートによる解説に触れることで、インクルーシブ社会を考えるきっかけになれば」と述べた。

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