高市氏「公共の福祉、わからん」 自民総裁選の改憲論議

編集委員・藤田直央
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 自民党総裁選(29日投開票)の4候補は26日、ネット討論会で憲法改正などを議論した。河野太郎行政改革相、岸田文雄政調会長高市早苗総務相野田聖子幹事長代行とも、2018年に党でまとめた自衛隊明記などの改憲案4項目をふまえ議論を進める考えを示した。高市氏はさらに憲法12条の「公共の福祉」と人権の関係について踏み込んだ。

 高市氏は討論会で「大変興味があるのは12条の解釈です」と強調。憲法12条は国民が自由や権利を公共の福祉のために用いる責任について記すが、高市氏は「公共の福祉という言葉が中途半端でわからん。『公益および公共の秩序』として、国民の命や国家の主権に関わるような事態に一定の制限ができる形をはっきりさせたい」と述べた。

 憲法が保障する人権の制約理由となる「公共の福祉」については、自民党があいまいだとして12年の改憲草案で「公益及び公の秩序」に置き換えるよう提起。これに対し、政府が人権を過度に制約する根拠になりえるとの批判が出ている中で、高市氏は改憲案4項目にある緊急事態対応にからめて訴えた形だ。

 討論会では、敗戦後の占領下で憲法が制定された過程については他候補は深入りせず「未来志向」を唱えたが、高市氏は「やはり日本人の手による日本の心を持った憲法を作りたい」と主張。また、他候補は改憲について他党や国民の理解を得るため一層の説明が必要との考えを示したが、高市氏はサイバー問題などを挙げ「今の時代に憲法が追いついていないと焦るような気持ち」を語った。

 こうした高市氏の積極的な改憲姿勢は、支持を受ける安倍晋三前首相に通じており、他候補には見られない。長期に及んだ安倍・菅両政権への評価も問われる衆院選が迫る中、各候補の戦いぶりは、自民党が公約で改憲をどう打ち出すかにも影響しそうだ。(編集委員・藤田直央

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