川崎市民ミュージアム、収蔵庫水没 貴重な漫画資料は?

台風19号

斎藤博美 加藤勇介

 漫画資料などユニークな収蔵品で知られる川崎市市民ミュージアム(同市中原区)が、台風19号による被害で当面休館することになった。豪雨で作品の収蔵庫がある地下部分が水没。排水作業を進めているが、どのような被害が出ているか、関係者は心配している。

 同ミュージアムは1988年に開館した。川崎市に関する考古学や民俗学の資料だけでなく、国内の美術館では珍しい漫画や写真、映像などの近代メディアの資料を収集。江戸時代の浮世絵師・鳥山石燕(とりやませきえん)が描いた妖怪図「画図百鬼夜行」など貴重な資料がそろうことでも知られる。

 漫画資料の収集や企画展開催などの活動が評価され、2005年には手塚治虫文化賞の特別賞も受賞している。

 川崎市によると、雨水が大量に流れ込み、地下にある機械室、電気室、発電機室などが水没。15日夕方の時点で、館内の電気設備や空調が使用できなくなっている。地下に深さ2メートルほどの水が残り、ポンプ車による排水を続けている。

 水没した地下には作品の収蔵庫もある。気密性の高い構造となっているというが、内部の確認は、排水作業終了後に行う予定。再開の見通しはたっていない。

 漫画研究者で学習院大非常勤講師の佐々木果さんは「戦前の漫画資料では国会図書館にもないようなものも収蔵していて、国内有数の施設だ。収蔵品が無事かどうか、ハラハラしている」と心配する。(斎藤博美、加藤勇介)