ロシア、報道統制を強化 「偽情報の拡散」に刑罰

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 ロシアのプーチン大統領は4日、ロシア軍の活動に関する報道や情報発信のうち、ロシア当局が「フェイクニュース」(偽情報)と見なした場合に、記者らに対して最大15年の禁錮刑を科せる法案に署名した。刑法に新たな規定を加えて改正する形がとられている。強力な情報統制が敷かれるなか、欧米主要メディアも相次いでロシア国内での取材活動の一時停止などを表明した。▼2面=譲らないプーチン氏、7面=避難民を支援、30面=引き裂かれる家族

 新たな刑法では、ロシア軍の行動に関して「信頼できる情報を装った明らかな虚偽の情報の流布」や、公の場での「軍事行動の停止の呼びかけや、軍の名誉や信頼を傷つける活動」を禁止している。国際的な民間団体ジャーナリスト保護委員会(CPJ)によると、「社会的に危険な影響が伴う偽情報の拡散」に最大で禁錮15年の刑罰が規定されている。また、対ロ制裁を科すよう外国や国際機関などに呼びかけることも禁止され、違反者には最大で禁錮3年が科される可能性があるという。

 タス通信によると、ロシア議会下院のヒンシュテイン情報政策・情報技術・通信委員長は4日、「ロシア人だけでなくすべての人が対象だ。なぜならロシアに対する敵対行為の問題だからだ」と述べた。

 モスクワに取材拠点を持ち、ロシア語での報道を続ける英BBCは4日、ロシア国内での取材活動の一時停止を発表した。ティム・デイビー会長は「独立したジャーナリズムの行為を犯罪としているようだ」と批判。「スタッフの安全は最重要であり、仕事をしただけで刑事訴追を受けるリスクにさらす気はない」と話した。米ブルームバーグ通信とカナダ公共放送局CBCもロシア国内での取材活動を一時停止するという。米CNNとABC、CBSは、ロシア国内での放送を一時的にやめると発表した。(国末憲人=ロンドン、松尾一郎)

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 朝日新聞社は、ロシアの新たな法律は報道の自由への重大な侵害と懸念します。適用範囲や運用状況などを詳しく把握できるまで、ロシア国内からの報道は一時見合わせます。

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