(受験する君へ)未来への直感、まず進んでみて スタンフォード大1年・黄允珠さん

受験する君へ

[PR]

 「何をしたいか、はっきりしている人はそれに向かって。何をしていいかわからないなら、選択肢を広げる道を選んで」

 米・スタンフォード大1年生の黄允珠(ファンユンジュ)さん(18)は「後輩」たちにそうメッセージを贈る。

 ハンドボール女子日本代表の監督などを務めた父の関係で、熊本県で育った。公立小学校から私立中高一貫校へ。英語を小学生時代から独学し、小5で英検準1級に合格。中3で英語弁論大会で優勝して、米国大使館にも招かれ、高1で英国のサマースクールに参加した。

 だが、心は揺れていた。

 中学時代、英語の授業では発言しなかった。当てられた時はわざと悪い発音で答える。目立ちたくなくて、人間関係に悩んだ時期もあった。読書好きで、小学生の時の夢は小説家。弁護士になりたいと思ったこともあったが、高校で文理選択を迫られた時、「理系ならいつでも文転できる」という理由で理系を選び、兄と同じ国立大医学部をめざすことにした。「でもどうしても進みたい道ではなかった」

 そんな時、県の海外大進学をめざす高校生を支援する「海外チャレンジ塾」に参加し、海外進学の情報を得た。米国の大学は入学後に専門を決めればいいと聞き、「それなら海外大がいいかも」と直感で決めた。高3では、海外大進学塾「Route(ルート) H」(東京)にも短期間通い、首都圏から海外をめざす仲間ができた。

 海外大入試のエッセーは、英語弁論での優勝などには触れず、熊本地震後に児童養護施設で学習ボランティアをした経験などを題材にした。

 スタンフォード大と韓国・ソウル大に合格。昨秋、スタンフォード大に入学したが、新型コロナの影響で、熊本市の自宅から、夜中にスタンフォード大のオンライン授業を受ける日が続いた。厳しい状況でも今できることは何かを前向きに考える。

 「その時その時で生きてきたけど、人生無駄なことなんて一つもない。どんな寄り道にも意味がある。つらくても、迷っても、見つけた方向にまず進んでみて。それは必ず未来につながるから」宮坂麻子

 ◇朝日新聞デジタルは、1月8日以降配信の受験関連の記事を当面の間、原則無料で公開します。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら