(喪の旅)言葉をたどる、妻がどんどん近くなる 歌人・細胞生物学者、永田和宏さん

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 竹林が茂る京都市左京区の自宅1階。鎮痛剤のモルヒネがきいて、しばらく眠っていた妻が目を覚ました。2010年8月11日のことだ。

 不思議そうに家族を見まわす妻。口元がかすかに動き、何かをつぶやき始めた。

 傍らにいた夫の永田和宏さん(73)は見逃さなかった。「歌だ」。すぐさま原稿用紙に書きとめた…

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