(時代の栞)「肉体の門」 1947年刊・田村泰次郎 戦後のニヒリズムと欲望

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 ■生きてやる、焼け跡からの叫び

 夜のとばりが下りた。近代的なビルが立ち並ぶ東京・有楽町。きらめくネオンの海に男も女ものみ込まれていく。

 だが75年前は、想像もできないような光景が広がっていた。空襲で焼け野原となった街。闇市ができたが、愚連隊が大手を振って歩き、恐喝やスリ、置き引きが横行。「ラ…

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