(社説)新型肺炎対策 くらしの支援を丁寧に

社説

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 新型コロナウイルスの感染の広がりが、多くの人々の生活や企業の経済活動に影を落としている。

 政府の要請を受けたイベントの自粛をはじめ、飲食店やホテル、旅館ではキャンセルが相次ぎ、百貨店やタクシーなども売り上げの減少に直面する。子どもの通う学校が突然、休校になり、仕事を休まざるをえない親も少なくない。

 政府は来週にも、第2弾となる緊急対応策をまとめる。くらし全般に広がる不安を少しでも和らげることを、最優先に考えるべきだ。

 臨時休校で仕事を休んだ親への支援策については、3月末までの新たな助成金制度を打ち出した。休んだ従業員に給料を全額払った企業に、1人当たり日額で8330円を上限に助成する。すでに人手が足りていない企業もあるだろうが、せっかくの制度をきちんと活用し、従業員が安心して休めるようにしてほしい。

 ただ、この制度は会社で雇われている働き手が前提で、自営業者や個人事業主は対象外だ。休校の影響を同じように受ける人の間で不公平が生まれないよう、支えるためのしくみの検討は欠かせない。

 仕事先だけでなく地域でも、子どもを預かる場所を広げていくなど、知恵をしぼることも必要だろう。子どもの世話で休む人が複数いて人手がまわらなくなり、医療の現場などで支障が出るような事態は、できるだけ避けなければならない。政府は優先順位をつけて、支援策を考える必要がある。

 国内外からの客足が急速に落ち、売り上げが急減している観光業などには、政府が2月に決めた緊急対応策の第1弾で資金繰り支援策をつくり、その後も対象業種を広げるなどの対応を進めている。

 自民党がきのうまとめた経済対策の提言では、資金繰り支援について、金利条件の緩和や複雑な申請書類の見直し、手続きを早く進めることも求めた。足元の資金需要に対応できるよう、政府は不十分な点を改善していくべきだ。

 イベントの企画・運営会社や、学校給食の食材を納めている業者、そしてそこで働く人たち。地域や業種によって、受ける影響は異なる。状況の変化も踏まえて実態をとらえ、きめ細かな対応策をつくりあげていかねばならない。

 安倍首相は「私の責任において、万全の対応をとる決意」と語った。その言葉通り、さまざまな立場の人たちに目配りした政策を打ち出し、国民が安心できるよう説明することが求められている。

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