(あのとき)1994 携帯電話

有料記事あのとき

[PR]

 2000年8月。夏休みを取って旅行に出ていたときだった。携帯電話が鳴った。母からだった。「がんだって」「え? 誰が?」「私が……」

 一瞬の沈黙の後、母は堰(せき)を切ったように話し始めた。移動中なので後で折り返すと言って、いったん電話を切った。母の不満げなため息が耳に残った。

 宿に着いてすぐ電…

この記事は有料記事です。残り568文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

連載あのとき

この連載の一覧を見る