日本郵便のトナミ買収「舞台裏」 創業家には民営化反対の綿貫民輔氏
日本郵便は16日午後、物流大手トナミホールディングス(HD)とともに都内で記者会見を開き、同社を買収する経緯や狙いについて説明した。トナミHDの創業家には、20年前の郵政改革で民営化に反対した元衆議院議長の綿貫民輔氏(97)もいる。その孫でトナミHD執行役員を務める綿貫雄介氏(33)も会見に臨んだ。
日本郵便はトナミHD経営陣と創業家代表の雄介氏の3者で新会社「JWT」を設立し、2月27日~4月10日にTOB(株式公開買い付け)を実施。1株1万200円でトナミHD株の87%を約807億円で取得し、トナミHDは4月17日付で日本郵便の連結子会社となる。
残る株式も6月までに買いきり、トナミHDはJWTに吸収させる。最終的な買収総額は約926億円。トナミHDの経営陣は続投し、社名は「JPトナミグループ」とする。新会社への出資比率は日本郵便が750億円、経営陣でつくる合同会社と雄介氏が1千万円ずつを出資。買収費用の不足分は銀行融資でまかなう。
かつて郵政民営化に反対した創業家を持つトナミHDと日本郵便の経営幹部が今回のM&Aに向けて顔を合わせたのは、8カ月前の暑い夏のことだった。
積極的なM&A戦略で事業拡大
「日本郵便と組むのはどうか」。そんな打診がトナミHDの経営陣のもとに寄せられたのは、昨年6月7日のこと。相手は経営戦略の相談にのっていたみずほ証券の担当者だった。トナミHDの役員のひとりは「そんな手があるのかと思わされた」と振り返る。
公表資料などによると、トナ…