韓国識者が語る次期大統領選と政治の現状 新政権に必要な政策とは
韓国で尹錫悦(ユンソンニョル)氏が今月4日、大統領職を罷免(ひめん)されました。6月3日に大統領選が行われます。日中韓協力事務局次長などを務めた白範欽(ペクボムフム)・ソウル大アジア研究所客員教授(国際政治)は「次期政権が発足して3カ月以内に社会の分断を防ぐ政策を実施する必要がある」と語ります。
――憲法裁判所の判断をどう評価しますか。
非常戒厳が、基本的人権や司法の独立、政治活動の自由などを侵害した事実を認め、憲法の精神にのっとって決然と適切な判断をしたと思います。
――宣告まで時間がかかりました。
政府関係者やメディア関係者から聞いた話によれば、判事8人全員が罷免で一致しましたが、少数意見をどのくらい残すのかで綱引きがあったそうです。例えば、野党陣営による政府高官などへの弾劾(だんがい)要求への評価や、検察・警察の捜査資料をどの程度引用するかについて、保守系と進歩系の判事の間で、意見の食い違いがあったと聞きました。
ただ、宣告まで時間をかけた最大の理由は、韓国内の社会対立を極力小さくすることにあったようです。
韓国では尹氏の弾劾を巡って賛成・反対両派の激しい意見対立が続いていました。憲法裁判所は宣告に伴う社会的な騒乱を最も心配し、両陣営がエネルギーを使い果たすまで待っていたようです。朴槿恵(パククネ)氏を大統領職から罷免した2017年当時は4人の死者が出ましたが、今回は幸い、死者を出さずに済みました。
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――大統領選は進歩系最大野…