北朝鮮出身を名乗る男に身分証などを提供した疑いがあるとして、日本人の男2人が書類送検された。警視庁は、男が北朝鮮のIT分野にたけている労働者とみている。この日本人を装ってクラウドソーシングで仕事を受注していたといい、外貨の獲得を目的としていた可能性があり、同庁は実態解明を進める。
北朝鮮のIT労働者をめぐっては、警察庁が2024年3月、日本人を装い、クラウドソーシングなどのオンラインプラットフォームに登録し、日本企業の業務を受注している疑いがあるとして注意喚起していた。
同庁によると、北朝鮮のIT労働者は高い専門性を有している人が多く、ホームページやアプリなどの製作業務に幅広く応募しているとみられる。中国やロシア、東南アジアに住みながら、組織内ネットワーク「仮想プライベートネットワーク(VPN)」などを用いて日本で作業をしているように装うこともあるという。
国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの小木曽健・客員研究員は「仕事を依頼する側は小規模な企業が多く、なりすましを見破るのは難しい。プラットフォーム側が今よりもチェック精度を向上させることが重要だ」と指摘する。
なりすまし防止のため、警察庁はプラットフォームの運営企業に対して、身分証明書の厳格な審査▽テレビ会議形式の面接による本人確認の徹底▽不自然な情報の登録を通知するシステムの導入――などに努めるよう促している。
同様の注意喚起は海外でも相次ぐ。米国は22年5月、北朝鮮のIT労働者による不正な活動や対策をまとめたガイドラインを公表。韓国も同年12月、同様のガイドラインをまとめた。23年10月には、両国が共同で注意喚起の声明を発表した。
北朝鮮の狙いは何か…
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