子ども向けサイトに性的な広告 「急激に荒れてきた」ネットの事情

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伊木緑 後藤遼太

 子ども向けのインターネットサイトにまで、成人向けの広告が入り込むようになった。この10年でネット広告の仕組みが大きく変わったことが影響しており、サイト側も性的な広告を排除する膨大なコストに頭を悩ませている。防ぐ方法はないのか。

「気軽に検索もさせられない」親の嘆き

 10歳から2歳まで3人の子を育てる香川県の30代の女性は、子どもに頼まれてゲームの攻略サイトをのぞき、驚いた。成人向けの電子コミックやゲームに誘導する広告が次々に表示されたからだ。

 胸や局部の直接的な描写は避けているものの、性的な場面だと一目で分かるイラストなどだ。明らかに未成年者とわかる人物が、性的対象として描かれていることもある。広告をブロックするアプリを使ってもすり抜けてしまい、「気軽に検索もさせられない」。

 書店やレンタルビデオ店であれば、各自治体の青少年保護条例で未成年に販売しないよう定められており、年齢ですみ分けるための「18禁」のコーナーがある。ネットでも同じように「ゾーニング」をしてほしいと、昨秋、オンライン署名サイト「change.org」で署名活動を始めた。「テレビや新聞などに比べて、ネットは基準が緩すぎる。自主規制のレベルを上げてほしい」。現在、約10万筆が集まっている。

事前チェックが困難な仕組み

 性的な広告が様々なサイトに表示されてしまう背景には、ネットならではの事情がある。

 以前は、新聞やテレビの広告…

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この記事を書いた人
伊木緑
東京社会部
専門・関心分野
ジェンダー、メディア、スポーツ
後藤遼太
東京社会部|メディア・平和担当
専門・関心分野
日本近現代史、平和、戦争、憲法
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    仲岡しゅん
    (弁護士)
    2025年4月13日14時0分 投稿
    【視点】

    これは子どもだけでなく、大人の私にとっても問題だと思っていて、ポルノ広告が見たくない人にまであまりにも容易に表示されています。 「アルゴリズムの関係で私だけに表示されるのかな?」と一時は思っていたのですが、どうやら明らかに違う。 見たくない

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  • commentatorHeader
    佐倉統
    (実践女子大学教授=科学技術社会論)
    2025年4月14日9時11分 投稿
    【視点】

    ネットの広告状況は惨憺たるもので、仲岡氏もコメントしているように、子供だけでなく大人も含めて男女双方、あらゆるユーザーにとって我慢の限界となっている。このままだと、ネット文化そのものが毀損されるのでなはいか。 表現の自由との兼ね合いが問題

    …続きを読む