米仲介で思い通りのロシア、持久戦しかないウクライナ 元陸将の解説
米ホワイトハウスは25日、ロシア、ウクライナとの個別協議を通じ、黒海での安全な航行で合意したと発表しました。トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領は、ロシアとウクライナ双方がエネルギー施設への攻撃を、30日間停止することでも合意しました。陸上自衛隊東部方面総監を務めた磯部晃一元陸将は「プーチン氏の思い通りの展開になった」と指摘し、「ウクライナは持久戦に持ち込むしかないが、苦しい戦いを強いられるだろう」と語ります。
――米ロの合意をどう評価しますか。
「果たして合意と呼べるほどの成果なのか」というのが率直な感想です。これから春を迎えて暖房などのエネルギー需要が減るなか、エネルギー施設の攻撃停止にどれほどの意味があるのか。むしろ、ロシアが高価なミサイルを節約して使ったり、より効果的な標的に使えたりすることにもなります。プーチン氏にとっては、痛くもかゆくもない合意でしょう。
――トランプ氏とプーチン氏は「恒久平和達成の重要性」を指摘しました。
両氏が思い描く「平和」は全く異なります。トランプ氏はとにかく戦闘を停止し、人々が殺し合い、建物を破壊し合う行為を止めることが「平和」だと考えています。
しかし、プーチン氏が考える「平和」とは、ウクライナを手中に収めることにより平和が訪れるというものです。この状況にならない限り、トランプ氏がいくら「平和」を叫んでも、戦争は終わらないでしょう。
状況はプーチン氏に有利です。今回の合意は軍事作戦の停止を意味しません。おそらくプーチン氏がトランプ氏の顔を立てて、ほとんどロシアの戦略に影響がないエネルギー施設の攻撃停止だけを認めたのでしょう。プーチン氏の思い通りの結果になったと思います。
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――ロシア南西部クルスク州…
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