アップル「AirPods」が補聴器に 最先端音響ラボを記者が体験

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クパティーノ=奈良部健
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 米アップルのワイヤレスイヤホン「AirPods Pro(エアポッズプロ)2」(税込み3万9800円)は、補聴器のように聞く力をサポートする新機能を備える。自分の世界に没入するためのものだったイヤホンが、外界の雑音を消しながら会話相手の声を聞きやすくする道具にも変身する。その開発現場となった最先端ラボを取材した。

地球上で最も静かな空間

 米カリフォルニア州クパティーノにあるアップルの音響ラボ。スピーカーやマイクを備えた同社製品の設計や測定、検証が行われている。

 「ジャンプしないでください」。そう言われて入った空間の床は、トランポリンのように弾力があった。凹凸のある天井や床下、側壁が反響音を吸収し、外部の音や振動も遮断する。

 ここは無響室だ。

 音波は鼓膜に到達するまでに頭や耳などに反射して変化する。体が反射する音をあらゆる角度からここで測定する。「地球上で一番静かな空間」とされる。自分の血液の循環音が聞こえる人もいるという。

 50個のスピーカーが球状に…

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    遠藤謙
    (エンジニア)
    2025年3月26日9時22分 投稿
    【視点】

    トランプ政権になり,各企業のダイバーシティへの動きが鈍化する中,このようなニュースは嬉しい. これまでもマイノリティーへの投資への直接のリターンは難しく,ビジネスとしてではなく,ブランディングなどの広告価値としてのアクションとなりがちである

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    佐倉統
    (東京大学大学院教授=科学技術社会論)
    2025年3月26日12時45分 投稿
    【視点】

    平時利用と福祉利用の両方にまたがる技術の研究開発は、とても重要な方向だと思う。昨今、平時利用と軍事利用の境目が曖昧になっている二重利用(デュアルユース)がしばしば問題視されるが、このような二重利用は大歓迎だし、開発側としても新たな市場の開拓

    …続きを読む