企業が部活指導者を派遣、尾張旭市と東邦ガスが協定 教員の負担軽減

松永佳伸
[PR]

 教師の働き方改革などで部活動の指導者不足が深刻となるなか、愛知県尾張旭市教育委員会は、東邦ガス名古屋市)と指導者を派遣する協定を結び、部活動改革の実証実験を進めている。東邦ガス社員は副業制度を利用し、生徒の指導者として休日に活動し市から報酬を受け取るという。

 実証実験は2月にスタート。同社が昨年5月から始めた自治体向けソリューションサービス「東邦ガス つなぐtech(ツナグテ)」の一環として、地域課題の解決を図るねらいがある。同社は、社内とグループ会社に呼びかけ、学生時代などの経験を生かし、休日に部活動指導ができる社員を募った。

 市教委は、教職員の業務負担の軽減を図るため、来年3月までに部活動指導の廃止の目標を掲げる。ただし、部活動を担う地域の指導員の確保や、運営体制の整備など課題も多いという。

 今回、両者がめざす方向性が一致し、市立西中学校のソフトボール部、剣道部、バレーボール部を対象に5人の指導員を派遣。2月から3月末まで実証実験に取り組む。

 今月1日午後には、体育館で女子バレーボール部の練習があり、派遣された東邦ガス事業開発部の五藤和希さん(29)が、「最後まであきらめないで」などと声を掛けながら熱心に指導した。

 小学生から大学までの13年間、バレーボール部に所属。指導経験はないものの「自分がやれることで貢献できるのなら」と手を挙げた。

 「普段は上司から指導を受ける側だが、相手の立場になってアドバイスをするのは難しく、いろいろ学ぶことも多い。日頃の運動不足とストレス解消にもなっていいですね」と五藤さん。指導を受ける生徒からは「優しいし、教え方もうまい」などと好評だ。

 東邦ガスでは、実証実験を通じて得られた知見やノウハウを生かして指導員の確保や自治体の業務負担の軽減を支援する仕組みを構築。今後も派遣する学校や自治体数を増やしたいとしている。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    内田良
    (名古屋大学大学院教授=教育社会学)
    2025年3月20日14時16分 投稿
    【提案】

    部活動がこれまで教員のタダ働きによって担われてきたため、それを学校から切り離す地域展開(地域移行)は、人も金もないなかで模索しなければなりません。企業の協力も不可欠です。スポンサーとして関わるなどの方法で財源を生み出し、また記事にあるように

    …続きを読む