第5回自閉スペクトラム症の親子「避難所は行かない」 理由は日常と社会に
岸めぐみ
東日本大震災5日後の、宮城県石巻市の避難所。教員の戸田祥子さん(64)は、夜中に叫び声をあげる次男の智之さん(25)に声をかけ続けた。何を言っても、大好きだったトランポリンを跳んでも、1時間以上叫び声は止まらなかった。「智之も私たちと同じように、これからどうなっていくのか不安だったのだと思う」
智之さんは当時11歳。自閉スペクトラム症(ASD)と、重度の知的障害があり、普段と違う生活や急な予定変更が苦手だ。不特定多数が集まる場所も苦手なため、暴れてしまった場合、周囲の目も気になる。そのため「災害があっても自宅で過ごすと決めていた」。だが、自宅が津波で浸水したため、智之さんが通う県立石巻支援学校へ家族で避難した。
同校は指定避難所ではなかっ…
【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら
- 【視点】
この記事はタイトル「透明な被災者」の特集の1つで、東日本大震災と要支援者について、エピソードと課題、解決策へのヒントなどが書かれています。生活が落ち着いている平時の時期に、このような「教養」を知ることは、私たちにとって、とても大切なことです
…続きを読む