第5回自閉スペクトラム症の親子「避難所は行かない」 理由は日常と社会に

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岸めぐみ

 東日本大震災5日後の、宮城県石巻市の避難所。教員の戸田祥子さん(64)は、夜中に叫び声をあげる次男の智之さん(25)に声をかけ続けた。何を言っても、大好きだったトランポリンを跳んでも、1時間以上叫び声は止まらなかった。「智之も私たちと同じように、これからどうなっていくのか不安だったのだと思う」

 智之さんは当時11歳。自閉スペクトラム症(ASD)と、重度の知的障害があり、普段と違う生活や急な予定変更が苦手だ。不特定多数が集まる場所も苦手なため、暴れてしまった場合、周囲の目も気になる。そのため「災害があっても自宅で過ごすと決めていた」。だが、自宅が津波で浸水したため、智之さんが通う県立石巻支援学校へ家族で避難した。

 同校は指定避難所ではなかっ…

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    福原麻希
    (医療ジャーナリスト・介護福祉士)
    2025年3月19日10時47分 投稿
    【視点】

    この記事はタイトル「透明な被災者」の特集の1つで、東日本大震災と要支援者について、エピソードと課題、解決策へのヒントなどが書かれています。生活が落ち着いている平時の時期に、このような「教養」を知ることは、私たちにとって、とても大切なことです

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東日本大震災

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