第11回分派したオウム真理教 狙われるのは「サリン事件を知らない世代」

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比嘉展玖 久保田一道

 「公安調査庁だ。早く扉を開けなさい」

 24年9月下旬の朝、埼玉県越谷市の住宅街に、公安調査庁の職員14人が集まった。オウム真理教の後継団体「アレフ」の活動拠点のマンションに、団体規制法に基づく立ち入り検査をするためだ。

 表札はなく、全ての部屋のカーテンが閉められている。職員が拡声機で何度も呼びかけると、約20分後にエントランスからマスク姿の女性4人が現れた。

 職員らは中に入り、検査を実施。公安調査庁によると、この日、オウムの教祖・松本智津夫(麻原彰晃)・元死刑囚の写真や、説法を収録した教材などを多数確認したという。

 宗教法人法に基づく解散命令を受けたオウム真理教は分派し、現在は主にアレフを含む三つの後継・派生団体が活動している。公安調査庁によると、信者数は計約1600人で、15都道府県の計30カ所に活動拠点がある。

 公安調査庁は団体規制法に基…

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この記事を書いた人
久保田一道
東京社会部|法務省担当
専門・関心分野
法制度、司法、外国人労働者、人口減少
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    藤田直哉
    (批評家・日本映画大学准教授)
    2025年3月18日10時31分 投稿
    【提案】

    オウムの問題が風化してきているのは、良く感じます。異常な人々が行ったテロ事件だと「他者化」し、嘲笑すらするようなネットのノリもよく目にしますが、当時の資料や信者たちのドキュメンタリーなどを見ると、決して自分たちと全然異なっている異様な「他者

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    辻田真佐憲
    (評論家・近現代史研究者)
    2025年3月18日10時37分 投稿
    【視点】

    日本では、新興宗教に対する嫌悪感を持ち、無宗教を自認する人が多い一方で、スピリチュアルブームが起こり、パワースポット巡りが盛んになるなど、宗教的な要素を持つ文化も根強く存在しています。さらに、自己啓発の分野にも宗教的な要素が見られることがあ

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