減らすはずが、結局は原発頼み 燃料高騰で崩れた電力自由化の青写真

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多鹿ちなみ 三浦淳平
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 東京電力福島第一原発事故は、電力政策も大きく揺さぶった。電力小売りの全面自由化で大手電力の独占が崩れ、原発への依存も減るかと思われた。だが、足元では「原発回帰」への揺り戻しが起きている。

 競争で電気料金が下がり、電力会社を選ぶことによって将来の電源構成が変わる――。2016年に電力小売りの全面自由化が始まったころ、こんな期待があった。実際に大手電力の規制料金より安いプランが登場し、再生可能エネルギー由来の電気だけを買えるようにもなった。

 自由化の前は大手電力10社が営業エリアを分けて市場を独占。電気料金は、発電所や送配電網の建設費などに一定の利益を上乗せする「総括原価方式」という制度で決められていた。この制度をもとに、原発などの「大規模集中電源」がつくられた。東日本大震災ではそれがあだとなり、計画停電を招く一因となった。

 この制度は自由化とともにな…

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この記事を書いた人
多鹿ちなみ
経済部
専門・関心分野
エネルギー政策、人権、司法
東日本大震災

東日本大震災

2011年3月11日午後2時46分に三陸沖を震源とするM9.0の大地震が発生しました。被災地の声や復興の現状、原発事故の影響、防災のあり方など、最新ニュースをお届けします。[もっと見る]