アイデアで支える社員全員が母 時短制度充実のキッチン用品会社

鈴木裕
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 暮らしのニーズに合った萬古焼(ばんこやき)のキッチン用品を手がける商品企画・販売会社「ユニバーサル物産」(名古屋市東区)は、林恭史社長を除く社員9人全員がお母さんだ。子どもがいる女性社員が、なぜ集まるのか。疑問を解くかぎは「セカンドキャリア」「時短勤務」だ。

 同社がIWANOブランドで企画・販売する萬古焼のキッチン用品。機能性やデザイン、三重県菰野町の窯元が製作する品質が評価され、1日に6千個の注文を受けた実績もあるという。

 なかでも、トースターや電子レンジで土鍋ご飯が炊ける「感動おひつ」は人気が高い。この商品がご飯だけではなく蒸し料理にも使えることを知ってもらおうと、新たなレシピを考案してホームページやSNSで紹介するのが、商品企画を担当する伊藤直子さんの仕事だ。

 「魚の蒸し料理や、油を使わないでできる蒸し焼きそばなど、ヘルシーでタイパ(タイムパフォーマンス)がいいレシピを考えています」と伊藤さん。

 ひとつのアイテムをアイデア次第で何通りにも使えることや、レンジやオーブントースターを活用して手軽に調理ができる強みを知ってもらうことに力を入れる。

 出産前に働いていた会社でも、伊藤さんは商品企画を任されていたという。夫の転勤を機に退職し、子育てが一段落したところでセカンドキャリアとして選んだのが今の仕事だ。「企画職の醍醐(だいご)味を知っていたし、経験を生かせるのでやりがいを感じられる」という。

 セカンドキャリアの女性社員を積極的に採用する理由を、林社長はこう説明する。「エンドユーザーの一人である主婦の意見や感性は、キッチン用品の商品企画に欠かせない。女性たちのセカンドキャリアを応援しながら、商品を成長させるアイデアを得ることができる」

 時短制度の充実にも力を入れる。

 広報担当で、小学1年と3歳の子どもがいる藤沢美里さんは1日7時間の時短勤務をしている。子どもを習い事に通わせるため、午後4時半に帰宅しているという。

 同社では、子どもの年齢を問わずに短時間正社員制度を導入していて、始業時間も午前8時半か9時から選べる。実働時間は6~7時間に短縮が可能だ。

 林社長は「子どもがいる女性が働きやすい環境を整え、セカンドキャリアでの活躍を応援するのは、人材確保のための戦略」という。「2014年に創業した若い会社ではあるが、300年企業をめざして、さらなるお母さん人材の確保と、その提案を生かした商品開発を進めていきたい」と意欲的だ。

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この記事を書いた人
鈴木裕
四日市支局長
専門・関心分野
地方行政、教育、地方経済