選択的夫婦別姓、前向きでも議論主導できぬ首相 自民内に複数の私案

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笹山大志 松井望美 久保田一道
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 通常国会の大きな焦点になる選択的夫婦別姓の導入是非について、各党の議論が活発になってきた。法相の諮問機関である法制審議会が制度の導入を答申してから29年。賛否は与野党の枠を超え、なお割れたままだ。国会は長年の課題に終止符を打てるのか――。

 石破茂首相は昨秋の自民党総裁選以降、「いつまでも結論を先延ばしにしていい話ではない」と繰り返してきた。だがその言葉とは裏腹に、議論をリードする姿勢はまったく見えてこない。

 総裁選の時は「通称は通称でしかない。『選択的』なのだから夫婦別姓を否定する理由はないと思う」と導入に前向きな姿勢だった。

 だが、首相就任後は明らかにトーンダウン。1月26日のネット番組では党内がまとまらない状況を紹介しつつ「折衷案もありうべし、と思ったりする」と述べ、通称使用拡大へ傾きつつある心境をのぞかせた。

 首相の本心が、導入へ前向きであることに変わりはない。それでも党内基盤が弱すぎるため、党を二分しかねない議論を主導する力がない。

 国会の採決時に党議拘束を外し、議員個人の考えに基づいて投票すればいいとの意見も一部にあるが、森山裕幹事長が「国のかたちに関わることであり、慎重であるべきだ」と早々にクギを刺した。

 自民は、2月中旬から党ワーキングチーム(WT)の議論を本格化させる予定だ。各議員の私案がいくつも準備されているが、勢いづくのは選択的夫婦別姓の導入に慎重なグループだ。

 高市早苗前経済安全保障相は…

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この記事を書いた人
松井望美
世論調査部
専門・関心分野
国内政治、外交、世論、教育、文化
久保田一道
東京社会部
専門・関心分野
法制度、司法、外国人労働者、人口減少
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    BossB
    (天文物理学者・信州大准教授)
    2025年2月6日12時25分 投稿
    【視点】

    私の家族では、母親である私は自分の姓を持ち、子供たちは父親の姓と私の姓の両方を持つ複合姓です。父親と私は離婚していますが、「選択的夫婦別姓」をとっていたということになります。 この家族は、結婚という形をとっておらず、子供と親の姓も異なりま

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    中北浩爾
    (政治学者・中央大学法学部教授)
    2025年2月6日12時53分 投稿
    【視点】

    当事者の一人として書かせていただくと、通称使用の拡大では全く解決策になりません。二つの名前を使い分けなければならなくなりますし、そのことは本人のアイデンティティを傷つけかねません。家族の一体性が損なわれるという選択的夫婦別姓制度への反対論は

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