第2回「仕返しされる…」おびえる生活保護利用者 家族の援助ないのに減額

 10年間で生活保護利用者が半減した群馬県桐生市。

 「生活保護(の利用者)は人間だと思っていないんじゃないか。あの人(市の担当ケースワーカー)の前だと、おそろしくて震えがとまらず、字も書けなくなる」

 生活保護を利用する80代の女性は、市の窓口対応について重い口を開いた。

 この女性は、市役所で生活保護の相談時に言われたことをメモに残していた。「ウソつきは病気じゃないか」などと暴言を受けたり、大声で怒鳴られたりし、悔しさで帰り道に涙が止まらなかったという。

 桐生市に対する群馬県の特別監査では、家族からの仕送りが実際に可能なのかわからない事例が多数あったことが指摘された。

 この女性についても、仕送りをめぐって通常では考えにくい事態が起きていた。

仕送り「カラ認定」

 実際は受け取っていない家族からの仕送りを市が収入として認定したため、本来の保護費を大幅に下回る金額しか女性に支給されていなかったのだ。

 家族から仕送りがある場合…

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この記事を書いた人
清川卓史
編集委員|社会保障担当
専門・関心分野
認知症・介護、貧困、社会的孤立
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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2024年11月16日10時1分 投稿
    【視点】

    これ要するに「暴力による統制」なんですよね。良いはずがない。逆に、市としては、不正受給の問題への対応策として初めて成功した!とかで高評価だったりするのかもしれず、トータルで本来はどうずればよかったのかを考えると、なかなか難しい。この施策の導

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    岩本菜々
    (NPO法人POSSE理事)
    2024年11月19日1時4分 投稿
    【視点】

    <桐生市は「異常」な自治体なのか?国主導の不正受給対策が行政を暴走させたのでは>  桐生市の生活保護窓口の常軌を逸した対応に多くの読者が困惑しているはずです。しかし、これらの対応が、ある部分においては国の要請に則ったものであり、「たまたま異

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