特定利用空港・港湾指定、自治体に戸惑いも 予算の配慮「実感ない」
防衛力強化の一環として、自衛隊や海上保安庁が平時から円滑に利用できるように整備を進める「特定利用空港・港湾」。ただ、指定を受けた自治体からは戸惑う声も上がっている。なぜなのか。
「大家好!(みなさんこんにちは)」「一号(1号車ですよ)」。9月上旬の朝、福岡市の博多港中央ふ頭。中国船籍のクルーズ船(定員930人)が着岸すると港はにわかに慌ただしくなった。下船した外国人旅行客は、ガイドらの案内で近くに待機するバスに乗り込んでいった。
博多港は観光や商業の一大拠点となっている九州随一の港だ。水深13メートル超の岸壁を備え、大型コンテナ船や5千人超が乗船できる国際クルーズ船も往来する。2024年は、9月末までに153件のクルーズ船が来港している。今年4月、国は博多港を特定利用港湾に指定した。
特定利用空港も含めたこの枠組みは、空港や港を管理する市や県などとの間に設けられるもので、平時から自衛隊や海上保安庁が利用しやすくするためのものだ。総合的な防衛体制強化のための「公共インフラ整備」に位置付けられている。年数回程度の護衛艦の離岸・接岸の訓練や戦闘機などの離着陸訓練などが想定されている。
昨年秋に10道県38空港・港湾が候補に挙がり、今年4月に地元自治体との合意を経て7道県16空港・港湾が指定された。さらに8月には鹿児島県や熊本県などの12空港・港湾を追加した。
自治体側のメリットは何なのか。
国土交通省は2024年度…
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