海上で突如「警告!!」 商船高専生らが学ぶサイバーセキュリティー
もし、海上で船がサイバー攻撃を受けてしまったら?――。広島商船高等専門学校(広島県大崎上島町)などで9月中旬、「海事サイバーセキュリティセミナー」が開かれた。全国から集まった高専生らが、実際に船を運航しながら互いにサイバー攻撃を仕掛けたり、攻撃に対処したりした。
セミナーには情報系・商船系の高専生や海事関連業界関係者ら約60人が参加。広島商船高専の練習船「広島丸」に乗船して①サイバー攻撃を仕掛ける班②操船を担う班③陸上に残って船を支援する班、の三つに分かれた。
練習船「広島丸」が町の周囲を一周するために出航して数十分後。船の位置情報を示す電子海図のモニターが突然真っ赤になった。中央には「warning!!」の文字。「我々はこの船の運航を妨害している。止めて欲しければ指定された金額を振り込め」と表示された。
乗組員は陸上に残った班に電話で現状を報告。陸上チームは周囲の船舶情報や他の機器の状況などを聞き取り、対応を指示していた。サイバー攻撃はその後も3度仕掛けられ、成功すると「HACKED」などと文字が表示された。
攻撃対象となった電子海図は、安全のため、実際の船内ネットワークとは別に構築したもの。ただ、可能な限り実際のものに近づけたという。サイバー攻撃を仕掛ける側となった石川高専3年の後谷莉陽(りお)さん(17)は「実際の船上で取り組むのはなかなかできないこと。他校との交流も学びになった」と話した。
船舶の航行では、制御機器などの自動化が進みつつある一方、セキュリティー面の強化が重要課題となっている。2023年にはサイバー攻撃によって名古屋港のシステムが止まり、貨物船へのコンテナの積み込みなどが出来なくなる事件も起きている。
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