第4回最低賃金に政治が介入 「労使で決める」建前、崩した徳島ショック

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編集委員・沢路毅彦 北川慧一
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 徳島県最低賃金(最賃)の大幅な引き上げが決まった「徳島ショック」は、世界的な最賃アップの流れの一例だ。本来は労使交渉や市場で決まる賃金に、政治や国家が介入を深めているのはなぜなのか。

 「1千円を超える形で決まるように強く望んでいる」

 7月5日。徳島地方最低賃金審議会の第1回会合に、県知事の後藤田正純の姿があった。

 「中央最低賃金審議会で求めた目安をもとに、地方の最低賃金の引き上げを決めるのは時代から違う。地方から人口流出を防ぎ、人材をいかに確保していくか、ということに尽きる」

 最賃は、中央の審議会がA~Cの3ランクごとに示した目安を踏まえ、都道府県ごとの審議会が決める。その場で知事が発言するのは極めて異例だ。

 徳島の最賃は時給896円と…

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この記事を書いた人
沢路毅彦
編集委員|労働
専門・関心分野
労働問題・雇用政策
北川慧一
経済部|労働キャップ
専門・関心分野
労働政策、労働組合、マクロ経済
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    首藤若菜
    (立教大学教授=労働経済学)
    2024年10月26日10時4分 投稿
    【視点】

    最低賃金は、多くの国で政争の具となってきました。 例えば、韓国では、2017年の大統領選挙で、文在寅氏が2020年までに最低賃金を1万ウォンに引き上げることを公約に掲げて当選しました。結果的に、その公約は実現しませんでしたが、大統領就任か

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