なぜ備蓄米は放出されなかった 制度とイメージの間に潜むギャップ

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聞き手・吉田純哉

 今年は夏の終わりに米不足があり、政府の「備蓄米」が注目を集めました。結局、政府は主食用米を放出しませんでしたが、その判断を宇都宮大学助教の小川真如さんは「適切だった」と評価します。なぜなのか。そこには「実際の備蓄米制度と、国民が持つイメージとの間のギャップ」があると指摘します。

「備蓄米以外」で政府にできるのは…

 主食用の米は、一昨年から不足感がありました。さらに昨秋の新米は、酷暑で品質が劣り、良質なものから奪い合いとなりました。外食・中食業者は年間利用分を早めに確保・契約していましたが、残る主食用米の流通在庫は、例年より薄くなっていました。そこに夏場、台風や南海トラフ地震臨時情報などで買いだめが起きたため、スーパーのような都度発注している小売店からは米が消えました。

 その状況下で大阪府の吉村洋文知事は8月、「なぜ倉庫に眠らせたままにしておくのか」と政府に備蓄米の放出を求めましたが、政府は主食用米は放出しませんでした。私は、適切な判断だったと評価しています。備蓄米の放出は、あくまでも最終手段であるべきだからです。

 備蓄米制度は、1995年に…

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この記事を書いた人
吉田純哉
オピニオン編集部
専門・関心分野
スポーツ、文化、教育